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“網紅”活用「S2b2c」モデル研究レポート(9)
S2b2cモデル・ケーススタディ⑥ 網紅ライブコマース「如涵(RuHnn)」
2021年3月29日
S2b2cモデル・ケーススタディ⑥
網紅ライブコマース「如涵(RuHnn)」

  昨今中国で人気の「網紅(ワンホン)」と呼ばれるKOL(キーオピニオンリーダー)やインフルエンサーによるECや、テレビショッピングのスマホ版であるライブコマースも、実はS2b2cモデルの典型的成功例の一つといえる。

  ここでは網紅の影響力を活用したECを展開し、2019年4月に米ナスダックに上場した「如涵(RuHnn)」を例にとろう。

  同社の中心的業務は網紅の発掘と育成で、契約しているインフルエンサーには張大奕や大金といった映画スターや人気芸能人を凌ぐほど著名な網紅を数名抱えている。

  S2b2cモデルに当てはめると、彼女たちは如涵におけるbに相当する。ミニブログの微博(ウェイボ)やチャットアプリの微信(ウィーチャット)、ネット上のフォーラムなど複数のインタラクティブ(双方向)性を備えたSNSのチャネルを通して、cであるフォロワーを掌握。

  cからのニーズを、Sを中心とするサプライチェーンにフィードバック。サプライチェーンサイドはそれに基づいて商品を開発・生産し、淘宝(タオバオ)や天猫(Tモール)等で販売する。

  bである網紅からの情報やリコメンドに応じて、フォロワーたちも自らbと化して、商品をリツイートしながら紹介・販売。さらなる注文を獲得してくれるという仕組みだ。

  網紅とフォロワー間で相互に情報をやり取りすることで、アパレルなどではコーディネートなど専門的なアドバイスや提案などがシェアされる。こうした情報も、Sにフィードバックされ、新商品の開発や既存商品のバージョンアップに役立てられる。

  bが発信した情報や販売状況などのビッグデータも、Sにシェアされ活用できることから、消費者のニーズをタイムリーに把握しながら臨機応変に商品開発へと転化できるスマートサプライチェーンが構築されている。(図11:如涵のフレキシブルなサプライチェーンモデル)
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