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中国「新中間層」調査分析レポート(2)
新中間層のライフスタイルは? 趣味を生かした仕事と起業
2021年6月24日
新中間層のライフスタイルは?
趣味を生かした仕事と起業

  新中間層は、現在の中国社会で重要な位置を占めている。また社会の価値観の変化にも大きな影響力を持つ層ともいえる。

■健康を追い求める

  新中間層の人々は健康関連のコンテンツをフォローし、無糖、低糖など健康的な食生活に対するこだわりが強い。 自身の健康のみならず、自然や社会環境の保護にも高い興味を示す。

  バイトダンス(字節跳動)が運営するニュースアプリの今日頭条によると、2020年上半期に、「飲食や生活習慣が健康に与える影響を注視」と答えた人の数が、前年同期比で74.9%増加。「環境に無害な製品なら、価格が少し高くても購入」と答えた人も、前年比で62.2%増えたという。

■創造性と自己顕示欲

  生活を愛し、クリエイティビティを重視、シェアを好む…これらは新中間層の人々の大きな特徴といえる。動画を撮影してSNS(交流サイト)にシェアしたり、ライブ配信を行う人も多く、中国版TikTokの抖音(ドウイン)は、彼らに特に人気の高いソーシャルネットワークアプリだ。

  2020年1~6月に、新中間層が抖音で配信したショート動画のテーマは、親子、生活、旅行、グルメの順に多かった。ま た抖音でショート動画を配信する人、視聴する人の数も大幅に増えた。

  生活や仕事でのプレッシャーから、新たな収入源を得たいと考える中間層も現れている。

  巨量引擎・宏盟集団の共同レポート「2020中国新中産消費及び媒介行為トレンド報告」によると、ショート動画やライブ動画の配信で収入を得ている中間層は全体の6%、試してみたいと考える人も31.8%に達しているもよう。

■精神面での成長を追求

  精神面での楽しみや成長を重視するのも新中間層の特徴の1つだ。ニュースアプリの今日頭条によると、「(内面的な)成長」というキーワードの閲覧回数は2020年上半期に90%も増 加。「自分の考えに基づいた生活が好き」とした人も68.2%増え、「文化的素養を高めて、よりよい自身のイメージを作りたい」と答えた人も80.9%増だったという。

  ホームベイキングや料理、人気レストランの推薦や生活テクニックの伝授まで、動画投稿アプリの抖音(ドウイン)は新中間層にとって内面的成長に欠かせない重要なツールとなっている。抖音でショート動画を観た後、実際に試してみる中間層も少なくない。
(図3:抖音のショート動画を視聴して試してみたこと)
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  精神面での成長を求めると同時に、物質面での焦りやストレスを抱えているのも新中間層の特徴だ。

  日常生活での支出、住宅関連支出(ローンや家賃、内装費用など)、自動車支出(ローンやメンテナンス費用)はその最たるものだろう。子どもの教育に対する焦燥感も、高収入層を中心に高まっている。

新中間層の職業観とは?
複数職業の“スラッシュ青年”

  若い中間層では1つの職業・ポジションに甘んじることを退屈と感じ、複数の職業やポジションを持つ人も少なくない。

  彼らの肩書は「王小明、カメラマン/自媒体/ドラマ編集者」といった具合に、スラッシュ「/」で併記されることが多く、“斜杠(スラッシュ)青年”と称される。スラッシュは社会的に複数の職業や技能、社会関係を持つことを象徴している。

  スラッシュ同様に注目されているのが、新興のマイナー職種だ 。フードスタイリスト、ファッションの買物アシスタント、ファッションブロガー、ライバー(ライブ動画配信者)、Eスポーツ解説者、オンライン救命士、整理アシスタント、UI(ユーザーインターフェース)デザイナー、密室デザイナーなどはその一例だ。

  昨今のより良いモノ・サービスを求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドやニーズの多様化に伴い、自身の強みを生かした職業を創り出す中間層も増え、マイナーな職種が増え続けている。

  起業(自由業)も新中間層のキーワードの1つといえる。呉暁波頻道(チャンネル)の「2019新中産白書」によると、彼らが起業を選ぶ主な理由としては自己実現(62.1%)が最も多く、事業の成就(45.8%)がこれに続く。一方、起業はサラリーマンより儲かるからとした人は19.2%にとどまった。(図4:新中間層が起業を選ぶ理由)
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