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拡大中のワイン市場、宅配サービスの可能性は?
低温保存が課題、中国のワイン流通事情
2012年3月14日
 中国のワイン流通情事
 先日、中国でワインのネット通販をしたいというお客様から相談を受けました。

 イギリスの酒類調査会社IWSR(Vineexpo and International Wine and Spirit Research)によると、香港含む中国の2011年のワイン消費量は19億本となりアメリカ、イタリア、フランス、ドイツに次ぎ、世界第5位になった。同地区でのワイン消費量が2009年から2010年の1年間で33.4%増ということで、中国でのワイン消費が急増しているとのことです。

 また中国本土のワイン輸入取引高も、中国通関総署の統計によると、2011年の上半期の輸入ワイン総量は約1.7億リットル。そのうち瓶詰めワインが約1億リットルで前年同時期比60.2%増、金額で5.34億米ドルとのこと。輸入ワインの消費量を地区別に見ると、上海がトップで、深セン、北京、厦門、広州、寧波が続き、いずれも前年比大幅増とのことで、成都、重慶、武漢、鄭州、合肥、長沙などの内陸都市でも輸入ワイン量が前年比倍増とのこと。また2011年の中国ワイン販売を国別に見ると、フランスが約半分の49%でトップ、オーストラリア14%、スペイン及びイタリアがそれぞれ8%ずつで続いているそうです。

 このように急成長する中国ワイン市場に活路を見出そうとする日本企業があるのも当然と頷けますが、いざ販売しようとしたときに大きな問題となるのが流通でしょう。ワインは気温に敏感で、特に年数のたったヴィンテージものとなると、一定の温度で慎重に保管しておく必要があるのですが、そこで疑問となったのが、これら高級ワインを配送する場合、低温での宅配サービスは実際に存在するのでしょうか。

 上海で存在感がますます高まっているクロネコマークでおなじみのヤマト中国によると、低温倉庫及び配送を行う日系業者は1社あるが、宅配には対応していないとのこと。一方ヤマト中国では、上海市内でのクール宅急便はあるが、温度帯が冷蔵(5度前後)と冷凍(-18度)の2つしかなく、ワインの最適温度である15度前後については対応が厳しいとのことでした。

 上海でも夏場は配送トラックの車中が40度以上になり、また上海市以外のエリアには低温輸送ができる日系の運送会社は今のところないとのことです。高級ワインをネットで販売し配送するには、物流面のこのハードルをいかにクリアするかが当面の大きな課題といえるでしょう。

 2010年から2011年の1年間で、中国の赤ワイン消費量は全体の91%に達したとのことで、ワインにおいても中国人はおめでたい色の象徴である「赤=紅」酒を好むところがまた興味深いですね。

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