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ラオックスとヤマダ電機に見る中国戦略の違い
成長優先?日本式にこだわり?家電量販2社の戦略
2012年7月18日
ラオックス上海2号店 先日、中国最大手の家電量販チェーン店の蘇寧(スニン)電器の子会社となったラオックスが上海に2店舗目をオープンしたので行って来ました。場所は上海市の北に位置する虹口区の四川北路というところで、周りにはこれといった商業施設が全くありませんでした。ラオックスの斜め向かいには親会社の蘇寧電器の店舗があり、相乗効果なのか客の奪い合いなのかわかりませんが上海市郊外の住宅街からの家電需要に応えています。

 一方で、ラオックスは南京と上海に続き、今月中に北京で1号店を、年内に計5店舗前後をオープンするようで、2016年までに中国で150店舗を展開する計画があります。今回の北京1号店では中国で初めて中国人店長を登用するそうで、中国人店長の起用により事業の現地化と拡大が加速することでしょう。

 実際にラオックスの店舗に入ってみると、客足は日曜日ながらそれほど多くなく、南京のヤマダ電機同様に知名度と信頼を高めるには若干時間が必要なのかという状況でした。取扱商品については、家電以外のラインナップも豊富で、キッチン用品や楽器類、さらにはハローキティなどキャラクター商品やアキバさながらのアニメ系商品など日本からの輸入品がよく目に付きました。

 しかし、南京でヤマダ電機に入ったときのような「これぞ日本の家電量販店!」といった雰囲気はなく、普段よく目にするローカル系のお店よりは若干内装や展示がこぎれいかなという程度でした。また、店員の接客態度ですが、こちらもヤマダ電機で驚いたような日本式の親切なサービス精神を感じることはなく、普段よく目にするいわゆるローカル式の接客でした。レジの女性スタッフも「蘇寧」と書かれたカードホルダーを首に掛けていたので、恐らく親会社から派遣されてきたのでしょう。お店のイメージアップには商品ラインナップや価格競争力も大事ですが、やはり店員の接客がとても大切だと感じました。

 ヤマダ電機は瀋陽でのオープン時に幹部候補として日本の中国人留学生を、現地では新卒をメインに採用し、同社の企業理念や文化を徹底的に教育するとのこと。中国式接客でとにかく店舗数を増やし急ピッチで事業拡大を優先させるか、または日本式サービスにこだわり丁寧に着実に事業を育てていくか、両社の今後に注目したいと思います。 
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