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反日デモで緊急対応、日系企業の補償サービス
デモで再認識、チャイナリスクに備えた対応を
2012年10月9日

 日本政府による尖閣諸島の国有化に端を発した中国での反日デモ。日本製品ボイコットなどの動きが高まり、一部暴徒による商店や工場の破壊、商品略奪なども起きた。販売の伸び悩みなど日本企業や日本製品を取り巻く環境は厳しいが、そんな中で一つのサービスが注目を集めている。トヨタ自動車が行う補償サービスだ。

 9月下旬にインターネット上で、広汽トヨタの補償通知の発表が伝わった。反日デモにより被害を受けたトヨタ車の修理や交換を会社側が全面バックアップするというものである。「9月10日から21日の間での被害」「警察や保険会社による証明資料」「販売店や本社による判断」などの条件はあるものの、修理の際は保険適用外の費用を負担し、買い替え時には被害前の評価価格+2万元を提供するという大判振る舞いだ。

 この計画自体はネット上で盛り上がったものの、実現性は不透明だった。だが、国慶節休暇明けの10月8日、同じくトヨタ系列の一汽トヨタが補償サービスを開始したことが伝えられた。同社によると、「顧客はゼロ負担。保険の有無にかかわらず全額補償」というものだ。買い替えユーザーにも条件付きで2万元の補償があるという。これらのトヨタの対応に対し、消費者の反応はおおむね良好。「器が大きい」「感動した」などの声がネット上から聞こえる。

 反日デモに対する日本企業の対応は、業界や業種、生産や販売などの立場や拠点地域別にさまざまなものがあるだろう。トヨタの場合は、日本を代表する企業として毅然な対応を打ち出して中国の顧客満足度を高め、ひいては中国市場からは一歩も引かずに引き続き重視していく立場を示す狙いがあったのかもしれない。もちろん、反日デモという青天の霹靂のような出来事をきっかけにした臨時的な対応であることには違いない。一方で、中国事業を行う上でのリスクの一つとして頭に置き、複数のシミレーションを用意することも重要だろう。トヨタの対応はその一つの例として覚えておきたい。

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