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瀋陽 ~成長の潜在性感じる東北の大都市~(1)
810万の人口を抱える瀋陽に日系企業も注目
2012年10月23日

__________________________________________.png吉林省、黒龍江省とともに中国東北地方の一角をなす遼寧省の省都、瀋陽。いまや東北地方の政治、経済、商業、工業の中核都市である瀋陽は、古くから清の初代皇帝になったヌルハチが後金建国時に都と定め、その後北京に遷都した後も副都として栄えた。今でも当時の副都の面影を残す瀋陽故宮が街中にあり、観光地としても人気で、中国各地から旅行客が集まっている。近代に入ってからも、ドイツ系BMWとの合弁企業を有する華晨汽車集団や瀋陽飛機工業集団など、自動車や航空機を中心に中国全土でも有数の企業集団を擁する重工業発展都市として発展してきた。

 中国国内では東北の雄として名を馳せてきた瀋陽だが、こと日本企業の対中投資という側面においては、同じ遼寧省にある大連の後塵を拝してきた感が否めない。戦時期には多くの日本人が移り住むなど日本統治時代の建物も町の中心部に現存する大連には、1990年代から2000年初頭にかけて大小含む多くの日本の製造業が開発区を中心に組立工場を建設し、また最近ではソフトウェア開発などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業が大挙して進出した。街中にも日本企業や日本食レストランなどが散__________________2010__________________.png在するなど、多くの日本人にとっては大連を身近に感じ、また遼寧省の省都は大連と勘違いしている人も多いのではないか。

 このように、ややもすると日本からは大連の影に隠れがちな瀋陽だが、東北地方を管轄する日本国総領事館が設置されており、最近では尖閣諸島の国有化を発端とした反日デモのピーク日となった9月18日に満州事変のきっかけとなった柳条湖事件を追悼祈念式典が開催され、日本のメディアで改めて瀋陽が取り上げられたことが記憶に新しい。

 経済面では瀋陽は徐々に存在感を増しており、強靭な経済力と周辺都市を含めた膨大な人口からなる巨大市場に世界中から熱視線が送られている。日本勢では、伊勢丹が08年に、ヤマダ電機が10年に支店をオープンし、ユニクロ、MUJI(無印良品)、JINSなど流通小売業が数多く進出。また、三菱商事や東急不動産なども現地不動産大手とタイアップしてマンションや商業施設などを開発するなど、巨大市場の攻略に本腰を入れ始めている。

 まずは経済データから見てみよう。瀋陽市の2011年の域内総生産(GDP)は5914.9億元(約7兆5000億円)で、都市別ランキングで第17位。人口は810.6万人。1人当たりGDPは7万2637元(約91万4000円)で、都市別では第25位。社会消費品消費は2426.9億元(約3兆円)、奢侈品消費は400億元(約5000億円)で、上海、北京、杭州に次いで第4位と上位にランクインしている。先日インタビューしたイタリア系高級ブランドのブルガリ中国のリテールマネージャーも、中国の奢侈品市場において、上海、北京に続く重要都市として、杭州、成都とともに瀋陽を5本の指に入る都市として挙げるほどだ。(続)

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