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 大亀浩介コンサルタントインタビュー


通信キャリアとOTTの関係は?(2)
OTTに学ぶべき?キャリアの今後
2013年4月1日

 「通信インフラただ乗り」で揺れるキャリアとOTT事業者の関係。中国の場合はそれぞれの最大手のチャイナ・モバイルvs.テンセントの関係と置き換えられるが、これまでのところテンセントは低姿勢を貫いている。同社は通信会社との協力関係を強調しており、両者の共存共栄状態を構築しようと呼びかけるのに必死だ。

 一方、中国政府は既存の通信会社の設備を利用した通信事業、いわゆるMVNO(仮想移動体通信事業)参入を認める考えを示しており、国美電器や蘇寧電器、百度、アリババなどと並んで新規参入候補としてテンセントの名が挙げられている。ネットサービス最大手のテンセント参入により既存キャリアの通信事業に悪影響があるのでは、との懸念も根強い。

 中国の携帯ネットワークの進化は若干遅れている。旧式の第2世代(2G)が市場の中心で、第3世代のシェアはまだわずかだ。チャイナ・モバイルの契約者数は12年末時点で7億1030万人だが、そのうち3Gユーザーは8790万人と全体の12.4%に過ぎない。ARPU(1人当たり月間収入)が高い3G比率を上昇させるためには料金引き下げや基地局増設などのコスト支出が必要だろうし、次世代4Gへの設備投資額も巨大なものになる。それらの通信インフラをOTT事業者に自由自在に使われることに対して、通信キャリア側に抵抗感があるのも無理はない。

 実際、データが物語っている。チャイナ・モバイルの2012年度報告書によると、MOU(1人当たり月間通話時間)が11年の525分から512分に、ARPUは71元から68元へと減少し、SMSなどのショートメッセージ(短信)は736.1億通から744.5億通への微増にとどまった。一方、無線LAN利用量は3614億MBから1兆392億MBへと急増。データ通信が微信や動画サイトの優酷などのOTT事業者に「食われている」状況が示されていると言えよう。

 今後はどのような方向に向かっていくのだろうか。南京郵電大学経営学院の王凱副教授は通信キャリアに対して厳しい見方を持っている。王副教授は、チャイナ・モバイルが行っているインスタントメッセージサービス「飛信」を引き合いに、「(現状では)飛信よりも微信を選択するユーザーが多い。この事実だけでも、ユーザーのニーズ把握という点でキャリアがネットサービス事業者(OTT事業者)に劣っていることを説明できる」とし、キャリア側に一種の驕りがあると強調した。その上で、キャリアはOTT事業者からユーザー視点のサービス構築法を学ばなければならないとし、それぞれの顧客リソースを共同で活用してかなければならないと提案している。ただ、それを実現するためには、コストや利益の配分法など微妙な問題が待ち受けているのも事実だ。

 通信キャリアとOTT事業者の関係は今後もますます注目されていこう。ネットサービス事業者の事業戦略や広告戦略にも関わってくることなので、その行方を注視する必要がある。(了)

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