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仏系高級百貨店が北京進出へ
百貨店冬の時代、ラファイエットの挑戦
2013年5月21日

 フランスのギャラリー・ラファイエット百貨店の新たな挑戦がスタートする。2013年9月に中国第1号店を北京・西単地区にオープン予定だ。「百貨店の冬の時代」といわれるタイミングでオープンするラファイエット。勝機はあるのだろうか。

 ギャラリー・ラファイエットは香港のI.T集団と折半出資の合弁会社を通じて中国に進出する。北京店の建筑面積は約4万8000平方メートル、総投資額は3600万米ドル。すでに建設は完了しており、テナント進出交渉の最終段階を迎えている。

 中国の小売業界を取り巻く環境は厳しい。2012年、小売企業の家賃負担コストは平均で約30%膨らみ、人件費は約15%上昇したという。大中型百貨店81社の売上総額は前年比8.92%増の2282億7000万元だったが、利益総額は6.14%減少した。従来型百貨店の純利益率はわずか3%前後という統計もある。この背景には、電子商取引市場の急拡大、ファストファッションブランドの攻勢など、ここ数年で起きた中国消費市場の劇的な変化がある。

 しかしながら、ラファイエットは北京市場への進出理由として「北京は百貨店市場が分散しており、集中度が低い」ことを挙げている。成熟した日本や韓国市場に比べてチャンスが大きいということだ。しかも、他の百貨店は勢いを失っている。賽特購物中心はすでに高級ショッピングモールの代表格ではなくなっており、西単百貨商場は業態転換がボトルネックになっている。ライバルとして考えられるのは新光天地などだろうか。ラファイエット自身が競合相手と見ているのは大悦城、東方新天地、華貿中心などのショッピングモールという。

 同社は中国式の百貨店スタイルを模倣したり、欧州方式をそのまま持ってくるようなことはしないつもりだ。欧州方式とは、例えば「地下1階は全て女性用下着売場」「児童用品や玩具で2フロア、家庭用品で3フロアぶち抜き」などのことを指す。欧州の消費者は生活の質を求めるが、中国の消費者はまだ「見せびらかし消費」の段階にあると考えているからである。

 ラファイエットは高級ブランドにこだわるつもりもないらしい。同社が掲げるのは「平民化」。中国の消費者にとっては新鮮な欧州ブランドを誘致し、中国人に適したアジアブランドを持ち込む考えだ。

 将来的には中国の二~三線級都市への進出を目論むラファイエット。新たなプレーヤーの中国市場進出への取り組みに注目が集まる。

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