中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


中国ビジネス最前線 ~現地企業のキーパーソンに聞く~
中国チルド食品市場の現状と展望(1)
2013年7月8日

 中国市場は日本やその他海外とはかなり様相が異なる。特に食品市場については、社会環境や消費者の食に対する観念など様々な要素が複雑に絡み合い、理解するのは難しい。概観は理解しても、日々のトレンドの変化は速く、なかなかキャッチアップできないのも現状だ。

 このコーナーでは、本質を捉えにくい中国市場の動向やポイントを、業界の前線で奮闘するキーパーソンに語ってもらう。その発言からは、各進出企業が中国でステップアップしていくためのキーワードも読み取れるだろう。

 今回は台湾系食品大手のチルド事業部トップと面談し、中国のチルド飲料市場の現状と展望について語ってもらった。

――中国チルド食品市場の現状についてどのように見ていますか。

 欧米や日本市場と比較すると、中国のチルド食品市場の発展は遅れている。市場があまりにも広く、コールドチェーン(チルド物流や冷凍物流)の発展が進んでいないからだ。短い消費期限内に消費者に届けるというのは大きなチャレンジでさえある。コールドチェーンは日々進歩しているというものの、倉庫や売場(スーパーなど)におけるチルド製品の保存条件はなお規範化されていない。適温での保存が保証できず、製品の質に大きな影響が出てしまうということこそ、中国チルド食品市場の発展を阻害する最大の原因だ。大手メーカーが全国的な販売網を展開しているのは例外で、チルド食品分野は地場系の小型ブランドが多く存在し、地方市場ではそれらが高いシェアを誇る。

――中国の消費者のチルド食品に対するニーズはあるのでしょうか。

 乳製品を例に挙げて説明したい。中国の大手乳製品メーカーはコールドチェーン問題を克服して全国に製品を販売するために、早い段階から常温保存乳製品(いわゆるLL牛乳=ロングライフミルクなど)などを投入してきた。同製品は比較的安価ということもあり市民の食生活に深く根を下ろしている。特に二~三線級都市が多い地方部では乳製品市場の大きな存在だ。この現象は海外市場ではあまり見られない。さらに、近年はこれらのメーカーがさまざまなマーケティング手法を用いて消費者を『教育』し、常温保存乳製品のイメージと市場でのステータスを引き上げている。蒙牛乳業のブランド『特侖蘇』や光明乳業の『莫斯利安』が好例だ。いずれもハイエンド製品で、生乳の品質や栄養の高さをアピールし、健康へのメリットはチルド牛乳に劣らないどころか勝るほどだと強調している。価格もほぼ同程度だ。だが私は、中国の消費者のチルド製品に対するニーズと認知度はもっと呼び起されるべきだと思う。

――チルド飲料の成功のカギは何ですか。

 味がカギになると思う。チルド飲料の生産技術は高く、物流や倉庫への要求も高い。コストも膨らみ、販売価格も一般の常温製品よりは高いから(味の差別化が重要になる)。同じことは果汁飲料やミルクティーについても言える。消費者はなぜ1~2元を余分に払ってチルド製品を買うのだろうかという観点からも、チルド飲料は味の面で常温製品との差を広げなければならない。(続)

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop