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エンタメ型マーケティングの考え方
テレビ番組やイベント向け広告は有効?
2013年8月30日

 「80后(80年代生まれ)」や「90后(80年代生まれ)」の若者世代が消費市場の中心になるにつれ、メーカー側のマーケティング手法にもさまざまな工夫が見られる。その一つがイベントやテレビ番組の冠スポンサーになり、露出度を高めること。特に毎日使う日用品分野の広告が効果的のようだ。

 広東省に拠点を置く日用品メーカーの欖菊は、2012年から美女コンテスト「康滌風采麗人」を開催している。同社は1982年設立の電気蚊取り器製造メーカーで、殺虫剤でも業界大手。今回のイベント名には同社の洗濯用洗剤ブランドの「康滌」を冠した。このコンテストは広東省を中心に行われるが、地元の若年層の間での知名度向上を狙ったマーケティング戦略だ。同社はまた、香港の亜洲電視(ATV)が主催する美女コンテスト「亜洲小姐」向けに洗剤を提供し、ブランド力の向上も図っている。

 一方、洗濯用洗剤大手の立白は、湖南衛星テレビの人気番組「我是歌手」の冠スポンサーとなった。番組名の先頭に大きく「立白洗衣液」の文字が躍る。同番組はプロの実力派歌手が歌唱力を競うというコンセプトで、審査員は一般観衆500人。間接的ながら視聴者参加型番組でもあり、特に若者の間で人気が高い。同社は、従来型広告の注目度は下降しており、インターネットなどの新メディアは消費者の目をひきつけるもののイメージ向上の広告効果が見えないという現状分析から、人気番組とのコラボレーションを選んだという。インパクトのある番組で、知名度とブランド力向上の一挙両得を狙っている。

 実はこのような試みは決して新しいものではない。誰もが思い出すのは、オーディション番組「超級女声」のスポンサーを務めた蒙牛乳業の成功だ。一般人の女性が自らの歌唱力を武器に勝ち上がっていくこの番組は、携帯メールでの投票や敗者復活戦などを取り入れ、まさに一世を風靡するコンテンツとなった。蒙牛乳業は04年の番組スタート時から広告提供を始め、05年にブレイク。同社売上高は04年時点で37億4116万元だったが、05年に60億7091万元、06年に87億1万元、07年に112億9688万元と右肩上がりで増えていった。

 全ての企業が人気番組や大型イベントのスポンサーになる必要性はないものの、エンターテインメント型のマーケティング手法は中国ビジネスを深化させる上での重要なポイントとなりそうだ。インターネット世代の若者にはネット広告が一番効果的とも思えるが、彼らは同時に双方向性や体験性を求めている。バーチャルではなくリアルなコミュニケーションをとったり、イベントなどへの参加を通じた体験型行動が彼らの心に響くとも言えよう。

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