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江蘇省(5)~華東経済をけん引する注目都市~
商業施設が集中する無錫の崇安寺歩行街
2014年1月9日

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崇安寺歩行街は無錫の消費の中心

 無錫は江蘇省南部に位置し、北に長江、南に太湖を臨み、「太湖の真珠」とも呼ばれている。上海から約125キロメートル、省都南京から約180キロメートルの距離にある。12年GDPは7568億元で、江蘇省内では第2位、長江デルタ地域では第4位、全国レベルでは第9位だった。1人当たりGDPは江蘇省でNo.1で、華東地域における最も繁栄した都市の一つである。

 無錫の消費力は、裕福な江蘇省の中でも一、二を争うほどだ。12年社会消費品小売総額は2428億元で、前年比14%増だった。全国の大・中都市で第13位、長江デルタ16都市の中で第5位の規模である。常住人口に基づいて計算すると、1人当たりで約3万8000元。南京や蘇州の数字を上回り、江蘇省でトップだ。無錫人の消費に対する積極的な態度が数字面からも読み取れる。

 消費の中心は、市中心部の解放環路の中にある中山路一帯だ。崇安寺歩行街を中心として中山路の南北両端に向かって伸びるわずか2キロメートルほどの通りに商業施設が集中している。崇安寺歩行街は主に、レストランやカフェなどのグルメ、大衆ファッションブランド、個人商店で構成される。観光客はこのラインアップに満足し、地元の若者は飲食のバリエーションの多さと値引き可能な小店舗に惹きつけられている。

 また、大東方百貨(旧称:無錫商業大厦)、遠東百貨、三陽百盛百貨、八佰伴(ヤオハン)などの百貨店が軒を並べ、ロー~ハイエンドまで全ての需要がこの界隈で満たされる。無錫人はショッピング、食事、リフレッシュなどの目的を持ってこのエリアに足を運ぶ。崇安寺は観光客が必ず訪れる場所でもあり、週末になると人波であふれかえる。

 中山路の商業施設にはそれぞれ特色があるが、最も注目すべきは老舗百貨店の大東方百貨と八佰伴だ。この二つの百貨店に奢侈品ブランドが集中している。大東方百貨には、エルメス、グッチ、ディオール、バリー、バーバリー、フェンディ、アルマーニ・コレツィオーニ、マックス・マーラ、セルッティ、ロエベなどのブランドが揃う。同百貨の年商は20億元規模と無錫で一番だ。一方の八佰伴には、ルイ・ヴィトン、グッチ、ディオール、エルメネジルド・ゼニア、トッズ、フェラガモ、ダンヒル、ヒューゴ・ボスなどが出店。年商は約15億元で、そのうちルイ・ヴィトンだけで1億5000万元近くになるということである。

 このほかの百貨店としては三陽百盛百貨がある。中山路の中心に位置する同百貨のテナントは、若者向けのトレンドファッションが主流。ホワイトカラーを主なターゲットとするが、一流化粧品ブランドの豊富さも売りで、地下1階の高級スーパーも大きな特色となっている。

 台湾系の遠東百貨も注目に値する。広くて快適なショッピングゾーンが特徴的で、全テナントの約3割が無錫に初進出及び無錫にしかないブランドだ。台湾グルメストリート、輸入食品と輸入フルーツをメインとする高級スーパーも、生活水準の向上を追求する多くの無錫人に人気を博している。(続)

 

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