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美特斯邦威の戦略から見る中国アパレル市場(1)
マルチブランド化を進めた美特斯邦威
2014年1月17日

 中国のアパレルブランド、美特斯邦威(Meters/bonwe)の不調が伝えられている。多ブランド化のつまずき、外資の攻勢、消費者のテイストの変化などが理由として挙げられる。若者に人気の同社はどのように立て直しを図るのだろうか。

 北京市の目抜き通り、王府井。ここにある商業施設から、美特斯邦威が展開するブランド「ME&CITY」が撤退したとのニュースが報じられた。2008年に立ち上げたばかりの同ブランドは、当初は年商20億元を目指していたが、直近はわずか2億元にとどまっていたようだ。同じく傘下ブランドの「TAGLINE」製品は13年から製造を停止している。

 美特斯邦威は1995年に浙江省温州市で設立されたアパレルブランド会社。主に16~25歳の若者世代をターゲットにカジュアルファッション服を製造・販売している。直近では中国全土に5000店舗以上を展開するなど、おなじみのブランド。イメージキャラクターとして歌手の周杰倫や郭富城、女優の林志玲などを用いるなど、派手な広告戦略も目立つ。市場シェアは明確ではないが、12年の売上高は95億元。同じアパレルブランドの森馬の70億元、スポーツブランドの李寧の67億元を大きく上回るなど、業界大手と言える(いずれも上場企業の売上高)。

 同社は学生を中心に人気を集めており、一時は中国最大の「学生服」ブランドと称されるまでになった。学校の制服という意味ではなく、普段着で愛用されるブランドということだ。しかしながら、ターゲットだった80後(80年代生まれ世代)の服の趣味の多様化やライフスタイルの変化に伴い、カジュアルブランド一辺倒の経営モデルが徐々に陰りを見せてきた。また、ZARAやH&Mなど外資系ファストファッションの中国進出が相次ぎ、市場が徐々に奪われていった。

 そこで美特斯邦威はカジュアルラインに加え、冒頭のME&CITYを立ち上げた。ME&CITYはアダルト/ビジネスカジュアルとも定義付けられるハイエンドブランドで、価格はオリジナルブランド「美特斯邦威」の2~3倍。また、低~中価格帯のTAGLINEも立ち上げ、マルチブランド化を本格化させた。(続)

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