中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


「地産地消」時代をいかに戦うか(1)
輸出型から中国製造・中国販売モデルへ
2014年3月10日

 中国が「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌を遂げると言われて久しい。実際、外資系企業の進出も、かつての製造業中心から小売りや飲食などのサービス業が中心になり、世界最大の消費市場をどう攻略するかが各企業の課題になっている。そのキーワードとなるのが「地産地消(地域生産地域消費)」だろう。中国で製造したものを自国や第三国へ輸出するというビジネスモデルを脱却し、中国製造・中国販売というスキームである。

 この動きは、市民の生活に近い服飾の分野で目立つ。よく引き合いに出されるのがアパレルのハニーズだ。同社はヤングカジュアル向けの婦人服を中心に、商品の企画から製造、販売までを一貫して行うSPA(製造小売業)の代表格。2006年に中国に進出し、13年11月末時点で591店舗を展開中(直営店のみ)。日本を合わせた総店舗数が1432なので、実に全体の4割強の店舗が中国にあることになる。安価でファッション性のある商品は、中国の若者層にも人気で、多くのショッピングモールなどで同ブランドを見ることができる。同じアパレル分野では、ファーストリテイリングの「ユニクロ」、はるやまが展開する紳士服の「P.S.FA」、12年に上海に進出した「しまむら」などが挙げられる。
______1.JPG
ハニーズは総店舗数の4割強を中国で展開する


 飲食分野では、2011年に上海に進出した「はなまるうどん」が着実にチェーン網を拡大している。セルフ式讃岐うどんを提供する同社は、13年冬時点で長江デルタを中心に11店舗を展開しており、15年までに100店舗体制を目指す。キーコーヒー傘下のイタリアン・トマトは、カフェ・レストラン形式の飲食施設を上海などで5店舗を展開している(13年冬時点)。もちろん、日系飲食では「老舗」の部類に当たるサイゼリヤや吉野家、カレーのCoCo壱番屋などの活躍は言うまでもない。

 このほか、ユニ・チャームはおむつ市場でP&Gに次ぐ市場シェア第2位のポジションを確立しており、上海と天津で4工場が稼働中。内陸部の需要に応えるため、揚州(江蘇省)にも新工場を設ける。1995年に進出したグリコは、定番のポッキーのほか、現地市場向けに開発したライチ風味やエビ風味のプリッツなどを製造・販売。スーパーなどの売場にすっかり馴染んでおり、中国ブランドと錯覚する消費者も多いという。サントリーの「烏龍茶」、キリンの「午後の紅茶」シリーズなどは華東地域を中心に知名度が高い。

 さて、これもよく言われていることだが、日本の製品をそのまま中国で持ち込んでも成功するとは限らない。商品構成や価格面での工夫、マーケティング手法、販売網の構築など、中国独自の様々な戦略が必要になってくる。この観点において、日本企業の強みと弱みは何なのか。外資系企業はどのように取り組んでいるのだろうか。ますます深化する地産地消ビジネスの現状と課題をまとめてみたい。(続)

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop