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進出拡大するブルガリ、著名人効果で躍進なるか(1)
代理店を活用するブルガリ、リスク最小限に
2014年4月22日

 中国の奢侈品市場は2008年時点で1403億元だったが、11年は2660億元まで拡大した。リーマン・ショック後の影響もあった09年は、世界奢侈品市場は8%縮小したが、中国では逆に12%も成長した。その後2年間は30%前後の成長を遂げ、12年には中国人の奢侈品消費が世界全体の25%を占めた。
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中国で攻勢をかけるブルガリ


 しかしながら、中国政府が12年末からぜいたく禁止令を掲げると、13年の奢侈品市場は2%の成長にとどまった。贈答品など各方面での影響が如実に表れた形だ。

 中国市場において、奢侈品ブランドはどのように発展し、どのようなトレンドが見込めるのだろうか。ブルガリのグレーターチャイナ地区販売マネージャーのビビアン・チャン氏に話を聞いた。

――ブルガリの中国における状況を教えてください。

 現在、中国全土で35店舗、ライセンス授権形式で18の専門カウンターを展開している。進出都市は、上海、北京、南京、ハルビン、大連、天津、太原、広州、成都、無錫、昆明、杭州、武漢、瀋陽、済南、深圳、温州、石家庄、福州、蘇州、西安、鄭州、重慶、長春、長沙で、一~二線級都市が中心。販売好調な上海、北京はそれぞれ5店舗を展開中。経済発展が著しい二線級都市(杭州、成都、南京、成都、瀋陽など)や内陸都市(西安、鄭州など)も好調だ。35店舗中、代理店経営は7店で、残りはすべて直営店方式を採っている。

 月商は、大型旗艦店が500万元前後、一般店は250万~300万元前後。13年の総売上高は10億元超だった。

――ブルガリの店舗戦略や進出都市の判断基準を教えてください。

 一般的に奢侈品ブランドの進出モデルは、「一線級都市⇒主要二線級都市⇒省都」というものだ。当社は一~二線級都市の展開はほぼ完了。ただ、奢侈品市場の減速に合わせてこれまでの積極路線を修正している。今年はすでにオープンした天津銀河購物中心店に加えて、成都IFS、重慶時代広場、済南貴和購物中心の4店舗開業にとどめる。重点地域は重慶や成都など西部。フフホト(内モンゴル自治区)やウルムチ(新疆ウイグル自治区)、青島、大連などへの新規進出計画は一時停止する。

 進出先の判断基準としては、GDPなどのマクロデータに加え、進出に適した商業施設の有無、他ブランドの展開状況などを考慮する。たとえGDPが高い値だったとしても、適切な商業施設や不動産管理業者、経営チームがなければ絶対に進出しない。将来的な経営にとって大きな変数となるからだ。他ブランドの状況も指標となる。複数の奢侈品ブランドの進出は消費全体の雰囲気創出を促すが、単一ブランドの進出でそれを成し遂げるのは難しいためだ。

――代理店との提携関係はどうですか。

 本当は直営店を展開したいのだが、二~三線級都市においては実力のある代理店が強力な販売チャネルを握っている。このような代理店は通常、複数の奢侈品ブランドと提携していて、主要商業施設に詳しく、進出条件の交渉でも有利な立場にある。ただ、モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)グループに参画後は、同グループのブランドとパッケージで入居交渉をするようになった。

 代理店に頼りがちになるのは、ブランド側の市場に対する理解が乏しいことなどから、直営店を開くことにリスクがあるからだ。代理店との提携の場合、内装は全て代理店側の負担で、最低調達額(一般的に年間3000万~5000万元)も設けている。ブランド企業にとっては、正規の代理店さえ選べば安定した収入が得られるということになる。(続)

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