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地元市民の心をつかむ、キラリと光る地場系小売企業(10)
子供向け部門とO2O事業を強化する万達
2014年7月22日

 万達広場が今、力を入れているのが子供向け製品やサービスだ。万達集団は「万達児童娯楽有限公司」を立ち上げ、アミューズメント施設運営の「親子楽園」、オリジナルアニメの「原創動漫」、幼児・児童関連の情報発信サイトの「親子在線」の各事業を展開している。ターゲット層は12歳までの幼児・児童だ。親子楽園事業では、5000平方メートル規模の「宝貝王」と2万平方メートル規模の「児童楽園」を運営している。宝貝王は14年中に11の新施設をオープンする予定だ。
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清潔で開放的な店内


 また、13年後半からモールの2階部分の構成を見直し始めている。前述のように、アパレル比率を下げ、その代わりにライフスタイル部門を強化している。具体的には、美容院、ネイルサロン、飲食、家具、贈答品、児童教育などが挙げられる。生活の質を求める中国の消費者のニーズに沿った戦略と言えよう。これらの調整後、万達広場の2階部分の来客数は10%、売上高は8%増加したとのデータもある。

 O2O(オンライン・ツー・オフライン)分野も重視している。13年に各種サービス紹介のポータルサイト「万匯網」を開設し、ネット経由での集客を本格化させた。同サイトでは万達広場に出店する店舗のイベント紹介や割引クーポンなどの発行を行っている。電子商取引(EC)が隆盛を極めているが、カラオケや映画、飲食などの「体験型消費」はリアル店舗の強み。万達広場はこの点に絞って事業を強化する方針だ。14年末にオープン予定の杭州城北店は、飲食施設、体験型ライフスタイル、アパレル店舗の構成比率を3:4:3の比率にする。

 万達広場の勢いはとどまるところを知らない。現在計画中の店舗が全て開業する15年には、各店の1日当たり来客数を5万人とすれば、年間で延べ20億人超が万達広場を訪れることになる。これまで20以上の都市で同広場を訪問したが、一線級、二線級、三線級など都市の規模を問わず、どの店舗もポジショニングが高く、それでいて大衆化が進んでいるという印象を受けた。買物客で常に混雑しており、ピーク時のレストランは行列ができるほどだ。中国に進出する際は、万達集団と提携し、万達広場という強力な販売チャネルを活用する戦略も有効である。(続)

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