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越境EC「海淘(ハイタオ)」の現状と最新動向(5)
上海に誕生した「跨境通」
2015年1月6日

 このような中、海淘を規範化しようとする動きが国レベルで動き出し、国家発展改革委員会が税関総署を通じて全国に五つの越境ECサービス試験地を設けた。上海では13年末、東方電子支付有限公司という法人に経営を委託する形で越境ECサイト「跨境通」がサービスを開始。取引(注文と受注)、通関、物流(配送)、支払いなどをワンストップで提供できるのが最大のポイントだ。
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中国(上海)自由貿易区のイメージ


 跨境通のホームページの説明によると、同社は中国(上海)自由貿易試験区の管理下にある。取扱製品は全て輸入品(海外買い付け)で、受注した品物は各部門への申請や認可を経て、同試験区の倉庫から出荷される。実務上は、一定程度の仕入品(在庫品)を試験区に置いておき、それを売りさばいていくというスキームが取られているらしい。

 同社が最もアピールしているのは「行郵税」という輸入関税の透明化と明確化だ。行郵税とは、海外から持ち込んだり配送される荷物に課される税金の総称で、関税、輸入環節税、増値税、消費税などを含んだもの。跨境通で紹介されている商品には分かりやすく「輸入税」という形で表記されている。例えば、花王のメリーズのとあるおむつ商品(日本製)を見ると「価格:104元、輸入税10.4元」と書いてある。その横にはアイテムごとの関税率一覧表へのリンクが張られ、透明性をアピールしている。消費者はこれにプラスして配送費を支払うことになる。注文した品は約2週間で手元に届く。

 跨境通の誕生は、消費者にとって海外から商品を購入する際にネックだった通関リスクを排除したことに大きな意義がある。もちろん税金は払わなければならないものだが、これまでは「通関はほぼ大丈夫。引っかかったらアンラッキー」的な考えがほとんどだった。跨境通はこの過程を「当たり前」の状態に戻したものだと言える。物品取引や課税・徴税の管理を強化したい政府にとっても、グレー取引の感があった海淘を規範化することは大きなメリットになる。

 跨境通は海外製品の直売プラットフォームと定義付けされる。海淘を行う業者が店舗を開設するモール型のサイトだ。一号店、香港の大昌行、韓国の現代百貨など内外の企業が出店している。(続)

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