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大きく変化する中国人消費者のニーズ(1)
消費者ニーズの多様化と個性化
2015年3月16日

 近年、中国の消費者嗜好は急速に、かつ大きく変化してきている。これまでの中国人の消費というと、高級ブランド品に代表されるような豪華主義や、流行りモノを求める集団性が中心となってきた。しかし、それらが一巡して、現在は個性を求める傾向が強くなっている。
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個性を求める消費スタイルが根付きつつある


 全国的に都市化が進展するにつれて、また中国経済が高度成長時代から脱却して「量から質」の段階へとシフトチェンジする過程において、市民の日常生活は仕事を中心に一層密度が濃く、忙しいスタイルに変貌してきた。それゆえ、平凡で繰り返しの毎日を送る者も多いが、それが彼らの消費傾向にも影響を与えていると見られる。消費において、これまではあまり重視してこなかった新鮮感や刺激を求めるようになってきたのである。

 例えば、化粧品やスキンケア用品などでは、スーパーで買う一般ブランドではなく、美白効果や保湿効果など独特の機能を前面に出した製品や、ドラッグストアのPB(プライベートブランド)製品など、個性を重視した物を求める傾向にある。日用雑貨や家具などでも、都市のライフスタイルに合ったモダンデザインが人気を集めたり、もしくは華美な装飾を省いたシンプルな設計が好まれるなど、日本のテイストに似てきた部分もある。

 その根底にあるのは、ただ製品を買うだけではなく、それを買うことにより自分自身の生活に何がもたらされるのかという一歩踏み込んだ消費スタイルだ。自身が理想とするライフスタイルの実現のために、自分に合ったオリジナル製品を買い求める。それゆえ、多様化と個性化が中国の消費の大きなキーワードになってくる。

 消費者はクオリティーと安全性も重視する。中国では「性価比」という言葉をよく聞くが、これは「お値打ち」かどうか、つまりコストパフォーマンスを示す言葉である。ただ、この意味が微妙に変化しているようにも思われる。これまでは「買一送一(一点お買い上げでもう一点無料)」のような安売りやまとめ買いの際に多く用いられていたが、最近は「クオリティーの高い物ならば価格は高いのが当たり前」のような意味合いの方が強い。安さだけではなく、いい物にはそれなりのコストがかかると言うことを消費者が認識し始めてきたと言えるだろう。

 これらをまとめると、中国人の消費者に訴求するポイントとしては、「オーダーメイド」「ハイエンド」「クリエイティブ」「グレードアップ」などの言葉が当てはまりそうだ。今後のヒット商品にはこれらのキーワードが含まれてくるだろう。(続)

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