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拡大する海淘市場、日本企業にチャンスはあるか(3)
上海自由貿易区が海淘を後押し
2015年4月30日

 では、なぜ中国で海外から直接ネットで購入する海淘の人気が出ているのだろうか。その背景は何であろうか。単なる流行り(トレンド)であれば、それに乗っかって投資を行い、後で痛い目に遭う日本企業が出てくる可能性もあるのではないだろうか。
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買物客でにぎわう輸入商品直売センター


この背景を理解した上で、今後も大きく成長するであろう中国海淘市場に打って出るかどうかを判断することが大変重要になってくる。

 マクロ的な背景としては、中国経済が日本を抜き米国に次ぐ世界第2位の経済大国になり、市民の生活水準も向上し、よりよい品物や品質を求めるようになってきたことが挙げられる。経済的にゆとりができてきた富裕層や中間層が香港や欧米などに海外旅行に出かけるようになり、海外の優れた商品やサービスに触れるようになったといった要因も当然挙げられるが、より身近に起こった出来事としては13年9月末に開設が大々的に発表された「中国(上海)自由貿易試験区」がある。

 試験区のうちの一つである外高橋保税区内に設置された「上海外高橋保税区輸入商品直売センター」が13年にオープンした。同保税区は物流関係のオフィスや倉庫が並ぶのみのエリアだが、その敷地内にあたかも身をひそめるようにしてできた海外輸入商品の直売スーパーである。

 今年1月初旬に同センターを初めて訪れた。でかでかと目立つ看板が出ているわけでもなく、スマホアプリ「百度地図」のカーナビ機能を使ってようやくたどり着けるような場所にありながら、週末になると周辺の駐車場は車でいっぱいになる。店内には、日本や欧米、台湾、東南アジアなどからの輸入品が所狭しと並べられていた。訪れたのは閉店間際だったが、それでも多くの客で賑わっており、レジにも行列ができていた。

 入り口付近には花王の「メリーズ」と大王製紙の「GOO.N(グ~ン)」のおむつのほか、日本のドラッグストアでよく目にするようなスキンケア商品が並べられている。その奥にはりんごや梨、ブドウなどの果物が置かれ、巨大な水槽に入ったケニア産の巨大なロブスターや日本産のタラバガニも売られている。(続)

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