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人気の出前アプリ、各社がサービス合戦(5)
管理型で勝負する「餓了麼」
2015年9月10日

 さて、商業モデルという意味で注目を集めるのは「餓了麼」だ。

 一般的に出前アプリは、(1)「使い走りモデル」=飲食店の宅配業務を代行し、消費者から出前料金を徴収するタイプ、(2)「手数料モデル」=プラットホーム上でオーダー受けを代行し、飲食店から一定のコミッション(5~12%程度)を徴収するタイプ、の2種類に分けられる。
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広告には人気タレントを起用

 一方、「餓了麼」は全く別のモデル、すなわち「IT管理サービス」とでも言うような方式を採用する。飲食店側から年間5000~6000元程度のサービス料金を徴収し、細かくて煩雑なオーダーをシステム上で代行している。各飲食店は自らオーダー整理をする煩わしさから解放され、注文内容を間違えることや宅配ミスも減少。このシステムを導入してから注文数が2倍になったレストランもあるという。

 「餓了麼」は融資を活用して資金面を厚くした後、ブランドイメージの強化に乗り出している。15年5月には人気テレビ番組「奔跑吧兄弟」で一躍有名になった王祖藍をイメージキャラクターに迎えた。ブランド力の向上を通じてホワイトカラー層や都市コミュニティ地域での知名度強化を図っている。

 前述のように、出前アプリを利用する際にユーザーが最も重視するのは宅配スピードだ。これを意識し、それまで飲食店自身の宅配に頼っていた「餓了麼」は14年から自社宅配サービスを開始した。同社は現在、北京、上海、広州などの21都市で130の宅配拠点を有しており、飲食店2万店向けに宅配サービスを提供している。宅配網のいっそうの充実を目指し、独自アプリ「蜂鳥」も立ち上げた。宅配スタッフと飲食店を結びつけるこのサービスにより、より的確で迅速な宅配が可能になった。ユーザー側も同アプリを活用することで、自分の注文した品が今どこを移動中なのかということを確認できる。他社スタッフを含め、5万人超が同アプリを活用しているという。

 ライバルの「美団外売」は15年4月に自社宅配チームを立ち上げた。北京や上海に計380の宅配拠点を持ち、最初の四半期だけで60万件の注文をさばいた。「百度外売」も独自の宅配チーム「百度騎士」を組織。自社宅配は、コストは高くつくものの、顧客サービスという点でペイするというのが各社の共通認識のようだ。(続)

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