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中国ヘアサロン業界の現状と展望(1)
プリペイドカード商法の成功と今後の道
2015年12月15日

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中国全土に300万店

 アジアは世界の中でもヘアサロンの消費普及率が最も高い地域である。中国消費市場の中でも最も伸びしろがあるマーケットで、不動産、自動車、旅行、ITと並び五大消費分野の一つだ。2014年時点で中国には300万店のヘアサロンがあり、そのうち約51%はここ5年間で開業したものだという。年間5.84%の成長率で、従業員数は2000万人超、売上高は1兆元を超える。

  初期は小型店舗がメインだったが、今日のヘアサロン業界はグループ化している。大型ヘアサロングループは1000店以上のチェーン店を構え、自社で生産工場、トレーニング拠点、研究開発部門、教育機関を備える。その中で最大規模を誇るのは永琪で、年商は20億元超だ。

  中国の経済成長に伴い、市民の収入も増加し、「美」の追求も重視される中、ヘアサロン業界はさらに成長スピードを増していくだろう。専門家によると、ヘアサロン業界の成長は今世紀中の全ての産業の中で最も大きいものになるという。

  業界の成長に伴い、消費者ニーズも多様化してきた。世界の流行がすぐに伝わる現在、特に北京や上海、広州などの大都市では、欧米、日本、韓国のヘアスタイルやサービスへの興味が高まっている。このニーズに応えるため、多くの日系サロンが北京及び上海市場に進出してきた。ただ、その経営状況はまずまずといったところがほとんどで、惨憺たる状況のサロンもある。高コストで規模を縮小しなければならないケース、中国側との提携が不調に終わり撤退を余儀なくされるケースなども見られる。

  このような成長産業において、日系サロンはどのようにして満足に足る成果を収め、今後の発展をにつなげていけるのだろうか。今回は、前述の永琪、北京を拠点とする東方名剪(Easttop)、広州を拠点とする芭曲 (Hair Code)の各ヘアサロンチェーンの店長に、中国のヘアサロン業界の経営状況と発展の道について話を聞いた。

プリペイドカード方式で発展

 中国企業品牌研究中心の調査によると、中国ヘアサロンチェーンで最も影響力があるブランドランキングで14年の第1位に輝いたのは永琪だった。ここ数年はトップの座を譲っておらず、業界内でゆるぎない地位を築いていると言ってもいいだろう。沙宣国際が第2位、花様年華が第3位で、以下、文峰、審美、時尚碼頭、椰島、東方名剪、尚芸、名髪世家と続く。これらのチェーン店はいわゆる「総合店」で、ヘア以外にも各種美容やSPAサービスも提供する。

  インタビューによると、ヘアサロンチェーンは主に2種類の経営モデルに分かれるという。一つ目は、プリペイドカード方式。割引率を高くして顧客によるデポジットを促進し、キャッシュフローの増加を目指す。もう一つは会員制。割引率のほか、高い技術とサービスを前面に出す。大部分のチェーン店は前者のプリペイドカード方式を採用しているが、その目的として挙げられるのはやはりキャッシュフローの増加と投資資金の迅速な回収だ。回収した資金は店舗網の拡大につぎ込んでいく(続)。

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