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不動産不況でも店舗網を急拡大、「鏈家」徹底研究(1)
株式低迷とともに一気に店舗網を拡大
2016年2月1日
株価低迷を尻目に一気に店舗拡大する「鏈家」
株価低迷を尻目に一気に店舗拡大する「鏈家」
 株価暴落でどんよりとした空気が街中を覆った2015年初夏の上海。街行く人もどことなくイライラした感じを漂わせ、道端での口論やノロノロ運転に対する執拗なクラクションなどにも頻繁に遭遇した。町全体が落胆と不満で溢れているかのようだった。

 そうした雰囲気とは裏腹に、同じ時期に、上海市内の至るところで緑色の看板の店がまるで「雨後の筍」のごとく出現した。その正体は不動産仲介会社の「鏈家(Lianjia)」だ。株式同様に不動産市場も低迷する上海で、不動産仲介店の閉店が相次ぐなか、鏈家は閉鎖店舗を新規改装してリニューアルオープンさせ、町全体の不動産仲介業を呑み込む勢いで一気に店舗網を拡大した。上海古北区の黄金城道では、わずか100メートルの通りに3店舗も並ぶケースもあるほどだ。

 これまで不動産仲介店というと、古臭い内装の部屋に机とパソコンが並べられ、営業マンが店の前でビラを持って構えているイメージだった。これに対して、鏈家は、すべての店舗が画一的なデザインと内装で統一され、明るい照明と清潔な店内が高級感を醸し出している。店の入り口のガラス窓に貼られた貼り紙には、賃貸や販売物件の値段や間取りの情報が掲載されているが、従来の店ではそれらほとんどが文字中心。物件の外観の写真があればまだましだった。一方、鏈家では、整然と並べられた張り紙に、統一フォーマットで、文字情報と外観の写真のほかに、間取り図までが掲載されている。日本の不動産賃貸店を彷彿とさせる、洗練された新しいタイプの不動産仲介業者の登場である。

 では、実際に不動産市場が低迷する中、店舗網を一気に拡大し躍進する鏈家が、いかにその勢力を伸ばしているのか……その舞台裏に迫りたい。(続)


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