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中国消費市場:15年の総括と16年の動向予測(11)
一人っ子政策全面廃止によりベビー・マタニティ市場に機会到来
2016年4月8日

 

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子供の学習や教育訓練に関連する産業の成長が期待されている
VI. 一人っ子政策全面廃止によりベビー・マタニティ市場に機会到来

  昨年最も注目を集めた政策と言えば、一人っ子政策の廃止だ。第二子の出産が可能になることにより、新生児の数は毎年100~200万人増加することが予想されている。高齢化問題が緩和されるだけでなく、中国経済への刺激効果にも期待が集まっている。新生児増加による消費潜在力は毎年1,200~1,600億元に達すると見込まれ、特に不動産、婦人・乳幼児医療、食品、玩具、子供服、自家用車、教育訓練等の業界には大きなビジネスチャンスとなるだろう。

  一人っ子政策の廃止が不動産市場に与える影響としては2つある。まず、物件の大小や機能面で調整が必要となる。次いで教育関連施設に対するニーズが更に高まることが予想される。現在多くの家庭が夫婦と一人っ子という構成であるが、将来的には夫婦に子供2人の4人家族や、三世代同居が激増する可能性がある。この時、現在多数を占める小型マンションではそのニーズに応えることができず、3LDK以上の大型物件が人気を集めることが予想される。また、公立学校への入学割当のある「学区房」の人気は更に高まることだろう。

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ベビー・マタニティ市場に大きなビジネスチャンス創出なるか
  ベビー・マタニティ用品市場の成長も確実だ。べビー・マタニティ用品は哺乳瓶、おしゃぶり等のベビー用品、ベビー・子供服、玩具類、食品類の4つに分類できる。中国の家庭は、主に専門店、大型商店、及びネットでこれら商品を購入するが、越境通販の普及に伴い、紙おむつ、粉ミルク、乳幼児向け食品等はネット通販企業にとっても重要な分野となっている。

  2013年にどちらか一方が一人っ子の夫婦のみ対象に一人っ子政策が廃止された時点で、ネット上でのベビー・マタニティ市場規模は大きな成長を遂げた。中国電子商務研究中心の観測データによると、2013年の市場規模は650億元であったが、2014年には2,000億元前後に成長している。今回一人っ子政策が完全に廃止されれば、新たな成長が期待されることは疑う余地がない。

  単純なベビー・マタニティ市場だけではない。子供を持つ主婦層は育児関連情報の交換を頻繁に行うため、ベビー・マタニティ関連コミュニティ+ネット通販の組合せにも大きな期待が寄せられ、ベンチャー投資の注目を集めている。貝貝網(www.beibei.com)がベンチャーキャピタルのCラウンドで1億米ドル、辣媽帮(lamabang.com)もCラウンドで1億米ドル、国内での上場を目指す宝宝樹(www.babytree.com)は2.5億米ドル、輸入ベビー・マタニティ用品ネット通販の「蜜芽(mia.com)」はDラウンドで1.5億米ドルの融資をすでに獲得している。

  また、子供の成長につれて、オンライン教育のニーズの高まりも予想される。騰訊科技(テンセント)のデータによると、2015年8月までに106のオンライン教育プログラムが融資を獲得したが、中でも「軽軽家教」、「瘋狂老師」、「請他教」、及び「老師好」等の家庭教師のO2Oは最も人気が高かった。アイリサーチによると、15年の中国オンライン教育市場の規模は約1,600億元であるが、年間成長率は今後19%に達する見込みだ。オンライン教育業界はネット通販業界に続き、1兆円規模の市場潜在力が期待されている。

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