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中国書籍市場の「いま」に迫る (8)
注目!!中国で人気(話題)の個性派「厳選」6書店~ (1) 南京先鋒書店
2016年5月13日

注目!!中国で人気(話題)の個性派「厳選」6書店

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英BBCで「世界で最も美しいトップ10書店」に選ばれた「南京先鋒書店」
①南京先鋒書店

  南京先鋒書店は1996年にオープンした比較的歴史の古い個性派書店だ。09年に「中国で最も美しい書店」に選出され、14年にはイギリスBBCの「世界で最も美しいトップ10の書店」にも選ばれた。南京市の文化的ランドマークであり、文学好きの若者や旅行客の「MUST GO(必ず行くべき場所の意)」となっている。

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防空壕を改造した地下駐車場跡地の雰囲気をそのまま色濃く残る
  先鋒書店の最大の特色は周囲の環境にある。元々は防空壕を改造して地下駐車場にした場所(広さ3,680㎡)に作られ、駐車場の雰囲気をそのまま色濃く残している。書店の入口は駐車場の入り口にあり、地下に入る坂道の両脇には最新の書籍や推薦書籍が並べられている。車道のイエローラインや駐車スペースの白い枠もそのまま残され、明るく華やかな一般の個性派書店とは一線を画すプリミティブな雰囲気に満ちている。

  蔵書は8万冊以上、文学・歴史・哲学や社会科学、財経、古書といったジャンルのものから、映画、演劇、音楽、撮影、建築、アート、広告等まで多岐にわたっている。心地よく読書を楽しんでもらうために店内各所に多くの無料閲読コーナーが設けられ、来店客は心行くまでのんびりと読書に耽ることができる。

  先鋒書店は、中国で最も早くからカフェを併設し、“文創”雑貨・小物を扱い始めた書店のひとつでもある。また映画上映コーナーでは心地よいソファに腰を下ろして映画を鑑賞することができる。音量は低めに設定され、書店の静けさを保つ心配りもされている。

 
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店内には文創雑貨小物が充実し、売上は年10%で成長
店内で扱われている文創雑貨・小物は5,000種以上、その売上も近年は年10%の成長を続けている。書店全体の売上に占める文創雑貨・小物の売上は4割にのぼり、利益では全体の5割を占めている。この比率も毎年10%の伸びを続けているというから驚きだ。

  豊富なイベント活動も特色のひとつ。「映画祭」、「音楽祭」、「撮影祭」、「朗読会」等が企画され、著名人を招いての講演会や教室も頻繁に開催されている。テーマごとの絵画展や歴史写真展は多くの人が足を運ぶ人気イベントだ。客足も安定し、閑散期でも月間の売上は70万人民元を下らない。

  南京のランドマーク的存在として多くの旅行客を惹きつけている同店は、観光的要素も重視し、旅行客を対象にしたポストカードの投函サービスも行っている。来店した旅行客が店内で南京をテーマにした好みのポストカードを購入し、その場で記入して入口に設置されたポストに放り込めば郵送してもらえるシステムだ。店内では実際にポストカードを書く多くの人を目にし、このサービスが人気を集めていることがわかる。

  ここ数年、総統府の「民国書院」や安徽省黟県碧山村の「碧山書局」、浙江省桐盧莪山畲族郷の「先鋒雲夕図書館」など、中国各地の文化エリアや観光地にも支店を開き、文化と観光をミックスしたそのコンセプトは新しい書店の経営形態として注目されている。

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