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合肥の商業発展 現状と問題点 (1)
目覚ましい経済発展を遂げている合肥
2016年7月25日

目覚ましい経済発展を遂げている合肥

 

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2015年のGDP成長率は、中部省都の中でトップ
安徽省といえば、江蘇省や浙江省等、発展の著しい沿岸部と、内陸部の交通の要所として古くから栄える湖北省や河南省に囲まれたある意味「空白の地」だ。多くの貧しい出稼ぎ労働者の出身地としても知られ、省都である合肥は中部6省の省都ランキングにおいても後塵を拝している。面積、人口、GDP等の経済指標からみても、武漢、長沙そして鄭州の中部3大都市に大きく引き離されている。(※2015年度の各都市のGDPは以下の通り:武漢11,000億元、長沙8,600億元、鄭州7,450億元、合肥5,600億元。)

  しかし、その合肥も成長は目覚ましい。15年のGDP成長率は、全国平均及び省内平均をそれぞれ3.6%及び1.8%上回り、中部の省都の中では第1位となっている。GDPランキングでも10年の第38位から15年には第31位へ上昇、省都のみでは第12位で、その成長速度も12年連続で10%を上回っている。

 

インフラ及び商業建設が乱立

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2016年末の開通に向け、地下鉄工事が急ピッチで進む
  現在、合肥では2016年末開通に向け、地下鉄工事が急ピッチで進んでいる。このため、繁華街や合肥駅前など街中の至るところで道路が封鎖され、その周辺が迂回する自動車や歩行者で溢れかえっている。建設中の高層ビルも多く、秩序なく乱雑な印象を与える風景は、まるで街が1つの大きな工事現場であるかのようだ。

  6,000万を超える人口を抱える安徽省の政治・経済・商業の中心地として急成長を続ける合肥。実際に訪れてみると、街には噂どおり多くの百貨店やショッピングモールがオープンしていた。合肥の小売業界の統計によると、15年までにオープンした大・中型ショッピングモールは55件に上る。どのショッピングモールも商業面積は10万㎡以上で、スーパーや百貨店などを合わせると、市の商業面積は合わせて1,500万㎡を超える。人口一人当りの小売面積ではすでに上海を上回る計算だ。ショッピングモールの開発に伴い、商業エリアも拡大を続けている。一環路内の旧市街地エリアから新たに天鵝湖政務新区と湖濱新区等のエリアへと広がりを見せている。

 

地元の商業集団の吸引力低下

 

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合肥で最も賑やかな商業エリア「淮河路」
  安徽省の政府機関が集まるエリアの近くにある淮河路は、合肥で最も賑やかな商業エリアだ。各種ショップやスナックを売る店のほか、市内で最も高い売上を誇るデパートもここに集まっている。合肥で唯一、奢侈品をメインに扱う「銀泰中心」(2015年の売上は15.4億元)、地元を代表する「百大鼓楼」(2014年の売上は14億元)、そして流行に敏感なホワイトカラーをターゲットとするマレーシア系の「百盛(パークソン)」(15年の売上は8億元)等がその代表。

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地場系の百大集団傘下の「百大鼓楼」は、百貨店、家電商店、スーパー、卸売等を複合経営
  なかでも百大鼓楼は合肥地元の百大集団傘下の商業企業であり、百貨店、家電商店、スーパー、卸売等の複合経営を行っている。市内に10の百貨店、12の家電商店「百大電器」、そして70のスーパー「合家福」を擁し、合肥人の生活と密接な関わりを持つ。

  しかし、競争が日増しに激化する中、その影響力は年々衰えつつある。売上で見ると、2010年の249億元(全国のチェーン企業で第17位)から15年には155.7億元(第39位)に下落した。傘下にデパート「商之都」(2015年の売上は13.3億元)を持つもう1つの地元商業グループである徽商集団の場合、打撃は更に大きい。売上は2010年の405億元(第8位)から15年には一気に149億元(第41位)まで下落している。

  このような状況の下、百大鼓楼は、新たな消費トレンドに適応し激化する競争に生き残るべく、15年に1億元を投入して大規模なリニューアルを行った。ハード面を大幅に刷新した上で、多くの新しいブランドを招致、中高級路線をメインターゲットに据えた。これは15年における合肥小売業界で最も注目すべき出来事の一つだったといえる。(続)

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