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中国アパレル業界最新動向 (10)
変化する販売チャネル――ネット通販とセレクトショップ (1)
2017年7月20日

 

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「ONLY」や「欧時力(ochirl)」など実店舗型ブランドも、「双十一」のアパレルブランド別取引額で上位にランクイン

 

 アパレル製品の販売チャネルの主役は、従来の百貨店やショッピングモールから、ネット通販にシフトしている。それを象徴するイベントが、中国ネット通販最大手のアリババグループが11月11日(独身の日)に行う「双十一」だ。

 昨年の双十一では、ユニクロがアパレル分野の総合でトップ、レディースで1位、メンズでは5位だった。取引額が1億元に達した時間がセール開始からわずか2分53秒となり、全カテゴリーのブランドの中で最も速かった。キャンペーン対象商品は午前10時で完売した。

 アパレル分野の上位10位に新たにランキングしたブランドは、レディースでは「波司登」(8位)、「太平鳥」(9位)、「伊芙麗」(10位)メンズは波司登(8位)、「リーバイス」(10位)。レディースで今回10位から外れたブランドは、いずれもネット通販専属ブランドだった。

 3連覇を果たしたユニクロは大幅割引を実施するとともに、店頭で同日から1週間限定で一部商品を対象にネット通販と同じ割引率にしたり、ネット通販で購入した商品の受け取りを実店舗にするなど、O2O(オンライン・ツー・オフライン。ネットと実店舗を連携させた販売施策)を積極的に仕掛けた。これが奏功し、上海市の南京西路の旗艦店では同日朝から多くの来店客で賑わった。

 ネット通販の拡大は、アパレルブランドにとって最重要課題となりつつある。実店舗型のブランドは、今後ますますO2Oの動きを活発化すると思われる。(「表6:2016年アリババ「双十一」のアパレルブランド取引額順位」を参照)

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  百貨店のアパレル販売が苦戦する中、相対的に堅調なのがセレクトショップだ。近年、中国では、編集型セレクトショップが増えている。個人経営が多く、ビジネスの規模はまだ小さいが、将来「中国のユナイテッドアローズ」が誕生する可能性は十分にある。

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買手店(セレクトショップ)」の始祖、香港系の「I.T」
 中国に「買手店(セレクトショップ)」を広めたのは香港系の「I.T」だが、そのビジネスモデルはブランドごとに売り場を構成する「ミニモール型」。現在台頭しつつあるのは、複数のブランドを組み合わせ、統一された世界観で売り場を構成する編集型ショップだ。

 こうした店の多くは1~3店舗とまだ小規模だが、一部は固定客を囲い込み、利益を出している。自主ブランド展開の動きもみられ、今後の飛躍が期待される。

 上海市中心部の高級商業施設に出店する「A-MAZE」は欧州のラグジュアリーストリートブランドを揃え、20~30代女性に人気だ。経営者の王楚翹さんはファッションデザイナー出身で、10年前から中国人デザイナーのブランドを集めた店舗を経営してきた上海のセレクトショップのパイオニアだ。
 
  同店の顧客は80~90年代生まれの若い女性が中心。インターネットで同店のブランドを熱心にチェックしているひとが多く、「とても詳しくて驚かされる」と王さんは言う。高級ブランドを集めており、値段はコートが7000元、長袖シャツが2000元前後。

 固定客が多く、新製品が入荷するとSNSアプリ「微信(ウィーチャット)」と「微博(ウェイボー)」を通じ、各自の趣味に合わせて紹介している。顧客向けに、海外のアートやファッションなどストリートカルチャーを紹介するミニコミも発行する。

 

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