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2017年中国消費トレンド番付 (12)
若者のライフスタイルのキーワード~「後払い」と「シェアエコノミー」(1)
2018年4月2日
 
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次いで前頭に選んだのは、アリババと京東が打ち出した消費金融商品「螞蟻花唄」と「京東白条」、そしてカーシェアリングだ。

 90後(1990年代生まれ)世代の消費観念は、新しいものに対してオープンで、我慢をしない。欲しいものはすぐに買うのが、彼らのスタイルと言える。

 ある調査結果によると、彼らの7割は月末に所持金を使い果たす「月光族」で、クレジット消費に頼っているという。彼らにとって、クレジット消費は特別なことではなく、消費者金融の利用もごく当たり前のことだ。

 彼らのこの消費傾向に着目したアリババと京東は、それぞれ「螞蟻花唄」と「京東白条」なる消費金融商品を発売。 「まず消費、支払いは後」をコンセプトに、淘宝(タオバオ)や京東(JD.com)などネット通販での消費を積極的に後押ししている。

 「螞蟻花唄」と「京東白条」は、いずれも消費者のネット上での消費記録に基づいて、そのクレジット限度額を設定している。利用は簡単で、90後の若者や一般の消費者金融会社からお金を借りることのできないユーザー層、特にネットショッピングを好み、収入のあまり多くない層もカバーしている。

 「螞蟻花唄」や「京東白条」を開通すれば、クレジット限度額の範囲内で、自由に買い物ができるうえ、一定の無利息期間も設けられている。分割払いのサービスもある。

 発売以来、若年層の高い支持を獲得。現在のユーザー数は、京東白条が1.2億人、花唄が1億人を突破している。花唄の統計によると、ユーザー全体のうち、90後は4500万人を超える。全国に1.7億人いる90後のうち、平均して4人に1人が螞蟻花唄を利用している計算になる。

 ここ最近のネットセールの状況からも、信用消費の規模の大きさがわかる。

 2016年の双11では、開始直後の30分間における花唄による消費が85億元に達した。また、17年の618大セール初日の花唄の分割払い取引額は前年比で343%増、件数でも前年比265%の伸びを記録した。

 17年の双11では、アリババと京東が通常の値引きのほか、分割払いや利息免除のサービスを導入。京東は最高で12回分割無利息のサービスを提供、京東白条の取引額は開始直後の1時間で前年比450%増、7時間で前年の1日分の取引金額を記録した。

 螞蟻花唄では約8割のユーザーが臨時引出しを申請、昨年比で80%の伸びとなった。スマホアプリにおいても、花唄の取引額は前年比4割増を記録した。

  螞蟻花唄の利用シーンは淘宝(タオバオ)と天猫(Tモール)がメインだが、外部の消費サイトや生活サービスサイトへの適用も増えており、現在アマゾン(亜馬孫)のほか、家電量販の蘇寧、配車アプリの滴滴打車、グルメ口コミの大衆点評などでの利用が可能だ。

  京東はさらに幅広く、部屋の賃貸から旅行、家の内装、自動車保険、教育、結婚などの領域で、信用消費が可能になっている。銀行と提携してクレジットカードも発行、「白条閃付(即払い)」機能により、「銀聯閃付」のPOS機のある場所なら、どこでも白条を通した消費ができるようになった。 レストラン、スーパー、ホテル、娯楽施設などオフラインの主要店1千万店近くがその対象となっている。

  「螞蟻花唄」と「京東白条」の登場は、分割払いと消費金融を日常の消費にも利用可能にし、消費者は高額な商品にも気軽に手を伸ばせるようになった。 消費の潜在力を開放し、若年消費者がハイクラスな生活を楽しむためのハードルを引き下げた。この結果、消費昇級(アップグレード)は大きく進行したと言える。

 今後、対象範囲がさらに拡大するにつれ、消費金融サービスを利用する若者は、さらに増加の一途を辿ることが予想される。

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