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【第319回】 中国有数の観光地は仕掛け満載
世界自然遺産がある湖南省・張家界
2018年5月2日
 湖南省・張家界。中国を代表する観光スポットの一つで、石柱が立ち並ぶ風景が頭に浮かぶ人も多いでしょう。1982年に中国初の国家森林公園に指定。ユネスコ認定の世界自然遺産と世界ジオパーク、さらには国家5A級旅遊景区としても中国「初」で、いかに世界有数の重要な観光地かがわかります。

 2016年末時点の常住人口は152.91万人。決して大きいとはいえないこの街に、17年には国内外から7335.81万人(前年比19.41%増)の旅行客が訪れました(外国籍は355.89万人)。17年のGDPは前年比8.7%増の542.41億元。旅行業が含まれる第三次産業が371.53億元と全体の約7割を占め、経済成長に対する貢献度も84.46%と圧倒的です。

 一番の見どころは「武陵源」景区。総面積は約264平方kmで、なんと東京ドーム約5700個分の広さ。主に張家界国家森林公園、索渓峪自然保護区、天子山自然保護区の3つで構成されていますが、それぞれ袁家界、楊家界、十里画廊などの著名スポットがあり、最低2日は必要でしょう。実際、入場チケットは248元で4日間有効となっています。

 この武陵源のほかにもう一つの“Must Go”が「天門山」。標高1260mの絶壁の上にある、高さ131.5m、幅57m、奥行き60mの空洞「天門洞」が有名です。しかし驚きはそこに至る道のり。行きと帰りをロープウェイかバスの組み合わせで選べるのですが、その出発点はなんと市内中心部。張家界駅のすぐそばから、天門山の頂上まで延々と延びるロープウェイはなんと全長7455m。標高差も1279mで、最大傾斜は38°となっています。一方のバスも「箱根の坂」顔負けのくねくね道で、すぐ横が絶壁というスリル感を味わいながら、全長10.77kmをひたすら登ります。

 張家界の魅力は、こうした大自然に“人工”的なアトラクションを組み合わせているところです。天門山にはロープウェイや天門洞へと延びるエスカレーターのほかに、絶壁から張り出すように設置された「ガラス桟道」が大人気。標高1430mの空中散歩は、まさに“腰が抜ける”状態でした。また、空中散歩といえば、武陵源近くの「ガラス橋」も有名です。全長430mで世界最長、分厚い1枚のガラス板の上に寝転ぶとまるで空中に浮いているような気持ちになります。

 さらに今最も話題なのが、運行高度326mの「百龍観光エレベーター」。岩山に突如として現れる鉄骨のエレベーターが奇抜な印象を与えながらも、ガラス張りのエレベーターから見える景観に、中国人旅行客から大歓声があがっていました。

 大自然だけでも十分なのに、さらに人目を驚かす建造物で魅力を高める張家界。値段もそれぞれ100~250元前後と決して安くはないのですが、どこも多くの旅行客で賑わっています。「コト」を求め始めた訪日観光。今後はこうした中国人の好む旅行や見せ方にも目を光らせておく必要がありそうです。 
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