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商業化が進む中国eスポーツ産業が急成長 (1)
官民挙げて業界の発展を強力後押し
2018年10月15日
 
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2017年の中国eスポーツ人口は2.5億人に達した
  インターネットやゲーム産業の発展に伴い、「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」が中国で急速に存在感を示している。「インターネット+競技性スポーツ」の新たな産業として、その市場と競技の規模が拡大を続けている。ユーザー数も爆発的に増加する中、政府や産業界、投資家からも熱い視線が注がれている。

  「eスポーツ」とは、コンピュータゲームを用いてプレイヤー同士が対戦する競技のこと。対戦型のゲームを「競技」レベルに格上げしたもので、パソコンやゲーム機、スマートフォン(スマホ)などをツールとして、人と人とが知力や技を競い合う「スポーツ」と定義できる。

  中国ネット調査大手iResearch(アイリサーチ)の統計によると、2017年の中国eスポーツ人口はすでに2.5億人に達し、市場規模は50億元を超えているという。試合の観戦者数が延べ100億を超えるイベントも出現している。

  今年8月18日からインドネシアのジャカルタで開催される「第18回アジア競技大会(アジア大会)」で、eスポーツがデモンストレーション競技として実施される予定だ。

  また22年に中国の杭州で開催される次回のアジア大会では、正式のメダル種目になることも決定。世界的なeスポーツイベントで優勝する中国選手が登場するなど、これまでになく注目が集まっている。

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中国で大人気のeスポーツゲーム「王者栄耀」
  今後、中国経済の成長持続とともに、「文創」産業の発展と普及に伴い、eスポーツの社会的地位も向上していくことが予想される。またその運営やビジネスモデルも成熟し、より専門化しつつある。(※中国で「文創」とは「文化+創造」の造語で、カルチャーとクリエイティブに代表される雑貨や文具など、独自のデザインとアイデアで創作したモノやコトを指す。)

  現在、人気の高い「英雄聯盟(League of Legends)」や「王者栄耀(Arena of Valor)」の競技版ライセンス料は1億元を超えている。この額は中国内の大型スポーツイベントとほぼ同レベルに達している。

  「英雄聯盟」のプロチームも北京、上海、重慶、杭州、成都、西安などの主要都市に誕生。またeスポーツ専門のスタジアムも北京、深圳、天津などに設立されている。

  中国政府も、国務院の「文化和旅遊部(文化・観光部)」が、新しいタイプの文化(カルチャー)業態の発展に注力しており、eスポーツ業界の現状と発展に注目している。

  以下では、中国eスポーツの市場規模、発展過程、サプライチェーンを構成する主な企業、消費者の特徴と利用状況、そして今後の発展トレンドに着目し、ゲームとスポーツを結び付けたこの新しい産業を解説していくことにする。

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