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【第352回】 新しモノ好きの若い世代に受けるか
立ち上がる中国のスマートホーム市場
2019年1月16日
 会報誌11月号で取り上げた中国スマートホーム業界。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などが注目されると共に、新たな成長分野としてスポットライトを浴びています。

 景気減速に合わせて不動産価格も横ばいが続く中国。どこか不動産不況のようなイメージもあるかもしれませんが、実際には住宅施工及び竣工面積は堅調で、相変わらず旺盛な内装のニーズが存在します。

 会報誌5月号でも取り上げた「ネット内装」でも触れましたが、新たに住居を内装する上で、あらかじめIoTやAI機能付きのスマート家電やインテリアを導入する中国人消費者も多いようです。特に新しモノ好きな若い世代が、音声認識で電源ON/OFFやカーテンの開け閉めをするといったスマート機器を購入していることは容易に想像できます。

 このように巨大な潜在性を秘めたスマートホーム市場に対して、ハイアールや美的といった家電大手メーカーのほか、ネット・IT各社、そして数多くのスタートアップ企業が自らの強みや特徴を活かしながら続々と参入しています。

 特にスマートホームの入口(ゲートウェイ)として注目されているのがスマート(AI)スピーカー。会報誌7&8月合併号でも紹介しましたが、アリババや小米(シャオミ)、百度(バイドゥ)などネット・IT大手を中心に、17年後半あたりから熾烈な主導権争いが繰り広げられています。

 我が家でも18年5月頃にアリババのAIスピーカー「天猫精霊」を購入。当初は天気や音楽などを話しかけると、答えて反応してくれるのが新鮮でした。ネット通販の淘宝網(タオバオ)とも連動し、普段よく購入するものなどは音声でオーダーができるといった使い方も発見し、驚きました。

 しかし、家電製品との連繋はなく、スマートホーム的な使い方はしておらず、そのうち段々と興味も薄れていきました。完璧な中国語の発音を要求されるハードルの高さもあり、話しかけることはほぼ皆無に。もちろん、このような状況は中国の家庭ではまれなのかもしれませんが、どうしても家庭の「スマート化」に懐疑的になってしまいます。

 多くの企業が続々と参入し、ベンチャー投資も活発な中国スマートホーム業界。彼らがどのように新たな市場を創生するのか。興味深く見守っていきたいと思います。
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