自動運転技術が中国で進化を遂げようとしている。ネット系企業と自動車メーカーがタッグを組み、各地で試験走行が展開中だ。
新しモノ好きの中国人
中国消費者は新しいハイテク製品に対する受容度が高い |
2017年末に北京で中国初の自動運転車走行テスト規定が公布されたのを皮切りに、これまでに上海、重慶、深圳、広州、保定(河北)、長沙(湖南)、長春(吉林)、平潭(福建)を加えた9都市で自動運転車走行テスト規定が制定されている。
これらの都市では、自動車メーカーに対して、公道での試験走行専用のナンバープレートを交付。現在、百度(バイドゥ)や謄訊(テンセント)のネット系、上海汽車、吉利汽車、東風汽車、第一汽車、長安汽車、広州汽車、北汽福田といった自動車メーカーのほか、蔚来汽車(NIO)や小馬智行(Pony.ai)など新興の電気・自動運転自動車メーカー含め、各社が先を争って公道テストを実施している。
中国で自動運転技術を研究開発する企業のうち、完成車メーカー以外で最も多いのは、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転ソリューション企業で、全体の21%を占めている。レーダーセンサーや車載パーツのメーカーも比較的多く、それぞれ13.9%、12.7%の割合となっている。(※ADASとは、自動車にカメラやセンサーなどを組み合わせて搭載し、周囲の状況を認識して、ぶつからないように自動的に衝突を回避するシステムのこと。)
中国の自動運転業界のサプライチェーンは比較的バランスよく分布されているとされ、ADAS市場規模は20年に約220億人民元に達するという予測もある。
地域別でみると、中国の自動運転関連メーカーは北京市、広東省、上海市、浙江省に集中しており、それぞれ全体の34%、23%、15%、8%を占めている。
独コンサルティング大手のローランドベルガーによる中国の自動運転の発展状況に関する調査レポートによると、20年までに中国各都市の特定エリアの公道で自動運転のテスト走行が行われるという。また、一部の高速道路では、人が運転に原則関わらない「レベル3」の自動運転車の走行が許可されると見込んでいる。
米コンサルティング大手のマッキンゼーの最新報告によれば、中国は今後、世界最大の自動運転市場に成長。30年には全乗客の走行距離(PKMT)に占める自動運転の割合が約13%に達すると予想している。
自動運転車両の数は約800万台に達し、自動運転対応の新車販売や関連の旅行(外出)サービスによる収入の合計は5000億米ドルになるとも見込んでいる。
また、中国の自動運転技術はアメリカに比べて “後発”の優位性があるだけでなく、中間層の広がりとともに、中国の消費者が新しいテクノロジーや製品に対する受容度が高いことが今後の発展にとって有利に働くとしている。自動運転に対する関心も高く、実際に中国消費者の49%が全自動運転を「非常に重要」だと回答したアンケート結果もある。ちなみに、この数字はドイツやアメリカでは16%に過ぎない。
中国の消費者にとって自動運転車を購入するために余計に支払ってもいいと思う金額は4600米ドルだが、アメリカとドイツではそれぞれ3900米ドル、2900米ドルにとどまっているようだ。