中国コーヒーデリバリー、新旧チェーンが争奪
マックカフェのネット出前コーヒーサービス「i麦珈琲外送」 |
コーヒー消費が全土隅々にまで広がり、成熟しつつある中国。
筆者が2004年に上海に移り住んだ頃は、台湾系の「上島珈琲(UBCコーヒー)」が浦東の自宅近くにある程度。市内にまだ数軒しかなかったスターバックスコーヒーを求めて、同僚とさまよった記憶が新しい。
それがほんの十数年で、上海など大都市どころか内陸の地方都市でも、スターバックスはじめ多くのコーヒーショップを目にするのが当たり前となった。
その急成長するコーヒー市場で、18年に特に注目に値するのがコーヒーの「ネット出前(デリバリー)」だ。16年ごろから一気に広まった「餓了麽」や「美団外売」などネット出前(フードデリバリー)アプリのブームに乗り、コーヒーもネット出前サービスが若者たち間で人気を集めている。
コーヒーの出前サービスと聞いてまず思い浮かぶのは、18年に入り勢い目覚ましい「ラッキンコーヒー(Luckin Coffee・瑞幸咖啡)」だろう。しかし実は、コーヒー専門のネット出前サービスを始めたのは、ラッキンコーヒーではない。15年に運営をスタートした「コーヒーボックス(Coffee Box・連珈琲))だ。
コーヒーボックスの後、大手コーヒーチェーン店の英系コスタコーヒーもネット出前サービスに参入。美団外売や餓了麽などネット出前アプリでの販売を開始した。
同年9月には、マクドナルド傘下のマックカフェも、同じくネット出前アプリの百度外売(17年8月に餓了麽が買収)と提携して参入、香港系のパシフィックコーヒー(太平洋珈琲)も17年に出前サービスを開始した。
2018年には、ラッキンコーヒーが華々しく登場。コスタを超え、一気にスターバックスに次ぐ第2の店舗網を有するコーヒーブランドに成長した。
スターバックスもこれを迎え撃つ形で、アリババとの戦略提携を発表。アリババ傘下のネット出前プラットフォーム「餓了麽」を活用したネット出前サービス「専星送」をスタート。スターバックスがネット出前サービスを行うのは、中国が世界初となった。
マックカフェも、同年10月にスマートフォン(スマホ)SNSの微信(ウィーチャット)内のミニプログラム(小程序)を利用したネット出前サービス「i麦珈琲外送」を導入。まずは上海でスタートした。
このように新興チェーンブランドだけでなく、既存の大手チェーン店もネット出前というパイの争奪戦に躍起となるなど、中国のネット出前コーヒー市場は、今まさに“戦国時代”の様相を呈している。(表1:主なコーヒーチェーンのネット出前サービス)