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中国コーヒーデリバリー、新旧チェーンが争奪 (1)
コーヒーにもネット出前旋風?
2019年3月25日
コーヒーにもネット出前旋風?
中国コーヒーデリバリー、新旧チェーンが争奪

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マックカフェのネット出前コーヒーサービス「i麦珈琲外送」
  コーヒー消費が全土隅々にまで広がり、成熟しつつある中国。

  筆者が2004年に上海に移り住んだ頃は、台湾系の「上島珈琲(UBCコーヒー)」が浦東の自宅近くにある程度。市内にまだ数軒しかなかったスターバックスコーヒーを求めて、同僚とさまよった記憶が新しい。

  それがほんの十数年で、上海など大都市どころか内陸の地方都市でも、スターバックスはじめ多くのコーヒーショップを目にするのが当たり前となった。

  その急成長するコーヒー市場で、18年に特に注目に値するのがコーヒーの「ネット出前(デリバリー)」だ。16年ごろから一気に広まった「餓了麽」や「美団外売」などネット出前(フードデリバリー)アプリのブームに乗り、コーヒーもネット出前サービスが若者たち間で人気を集めている。

  コーヒーの出前サービスと聞いてまず思い浮かぶのは、18年に入り勢い目覚ましい「ラッキンコーヒー(Luckin Coffee・瑞幸咖啡)」だろう。しかし実は、コーヒー専門のネット出前サービスを始めたのは、ラッキンコーヒーではない。15年に運営をスタートした「コーヒーボックス(Coffee Box・連珈琲))だ。

  コーヒーボックスの後、大手コーヒーチェーン店の英系コスタコーヒーもネット出前サービスに参入。美団外売や餓了麽などネット出前アプリでの販売を開始した。

  同年9月には、マクドナルド傘下のマックカフェも、同じくネット出前アプリの百度外売(17年8月に餓了麽が買収)と提携して参入、香港系のパシフィックコーヒー(太平洋珈琲)も17年に出前サービスを開始した。

  2018年には、ラッキンコーヒーが華々しく登場。コスタを超え、一気にスターバックスに次ぐ第2の店舗網を有するコーヒーブランドに成長した。

  スターバックスもこれを迎え撃つ形で、アリババとの戦略提携を発表。アリババ傘下のネット出前プラットフォーム「餓了麽」を活用したネット出前サービス「専星送」をスタート。スターバックスがネット出前サービスを行うのは、中国が世界初となった。

  マックカフェも、同年10月にスマートフォン(スマホ)SNSの微信(ウィーチャット)内のミニプログラム(小程序)を利用したネット出前サービス「i麦珈琲外送」を導入。まずは上海でスタートした。

  このように新興チェーンブランドだけでなく、既存の大手チェーン店もネット出前というパイの争奪戦に躍起となるなど、中国のネット出前コーヒー市場は、今まさに“戦国時代”の様相を呈している。(表1:主なコーヒーチェーンのネット出前サービス)
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