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配送専門企業も多数登場しリスク低下
物流システムはどうなっているのでしょうか?
2010年12月9日

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※このコンテンツは『中国ネットビジネス-成功へのポイント』(日本経済新聞出版社、2008年12月刊)からの抜粋のため、最新の情報及びデータとは異なる記述がある場合があることをあらかじめご了承ください。

 これまで、中国のEコマースの発展において最も懸念されたインフラ要素は物流でした。まずは配送の時間帯とカバー範囲、そして商品が損傷なく届けられるかというクオリティが懸念されていました。実際に、中国の空港で、預けたスーツケース等の手荷物が無造作にかつ乱暴に取り扱われている光景を目にすると、やはり、物流会社が行う運送業務も相当粗いのではと容易に想像できます。
 しかし、最近では、FedexやDHL等の国際的な企業から、ローカルの中小内資企業含む多種多様な物流業務を専門に行う企業が増えたことで、今日において前述の物流に対する懸念は薄れ、Eコマースの発展を阻害する要因ではなくなっています。
 現在、一定規模の配送業者であれば、中国全土の大都市から中小都市に至る配送範囲をカバーしています。配送の所要時間は距離や交通事情にも左右されますが、大体1日から1週間以内での配送が可能になっています。
 中国最大の民営宅配便運送会社は順豊で、2007年の売上高は43億元に上ります。次いで、申通(売上高40億元超)、宅急送(同11億元)となっています。(出典:経済観査報 200809028)これら大手の宅配便会社はすでに中国全土の主要都市をカバーしており、辺鄙な片田舎などカバーできていない地域であっても、中国郵政(国有郵便会社)のEMSを併用することで、すべての地域への配送を可能にしています。
 一方、物流に関して注意すべきポイントは、中国政府は特殊状況下において商品の配送に制限を加えることがある点です。2008年北京五輪開催時には、国家郵政局から「郵便物取扱及び運輸管理業務強化に関する通知」が発布され、同年6月1日から10月31日まで、すべての営業窓口において、液体類・化学品類・粉末類・機電装置類・固形石鹸(クリーム状)、及びそれに類似する物品、金属・気体または液体が入っている密封物の郵送が禁止されました。この禁止通知は配送業者にも適用され、オンラインショッピング商品、特に化粧品などの輸送が滞り、業績が通常より3割以上減少した業者もあったようです。
 ただ、ある上海のネット通販業者に聞いたところ、上海周辺地区のみへの配送のみから、中国全土への配送に切り替えた途端に売り上げが急増した、とのことです。中国全土への配送が比較的容易になったことは、ネット物販を通じた中国進出のハードルが下がったことでもあり、日本企業にとっては朗報といえるのではないでしょうか。

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