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中国国産ブーム「国潮」を徹底解剖 (2)
国産品にますます愛着を持つ 「90後」世代の若者たち
2020年7月6日
国産品にますます愛着を持つ
「90後」世代の若者たち

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ソーシャルEC「小紅書(RED)」の「国潮」に関する記事
  中国のコンサル会社の知萌諮詢が公表した「2019年中国消費者トレンド」によると、回答者の78.2%が国産品を頻繁に購入すると回答。44.6%が同じ価格なら国産品を選ぶとしている。更に、国産品はより実用的だと感じる消費者は68.5%に上り、国産品に文化的バックグラウンドを感じるとした消費者も42.8%に達した。27.7%の消費者が国産品を高品質だとも感じていた。

  オンラインショッピング指南の「返利網」も興味深いデータを公表している。2017年にEC(電子商取引)サイト上で「国潮」のキーワードが検索された回数は、前年比78.31%増。18年には156.44%と更に急増したという。19年1〜7月期には前年同期比で実に392.66%以上の伸びを記録した。

  なかでも「95後(1995年~99年生まれ)」世代の消費者に限ると、売上は2年で218.92%の伸びを記録。「95後」世代がまさに「国潮」トレンドの主役となっている。世代別の売上を比較しても「95後」世代は全体の25.8%を占め、その他の年齢層を大きく上回っている。

  一方、「90後(1990年~94年生まれ)」世代も、昨今のこうした新しい国産品ブームの主力消費層で、「95後」世代とともに「国潮青年」と位置づけられている。中国EC大手サイト「唯品会」の統計によると、「90後」世代の47.56%が商品を購入する際、国産品か否かを考慮しているという。

  ライフスタイルなどコンテンツに重きを置くソーシャル型ECプラットフォームの「小紅書(RED)」でも、2019年上半期における国産品に関する記事は前年比116%増加したという統計がある。

  また500万人を超えるユーザーが「国潮」や国産品に関して「種草」(※ネット用語で、文言的には「草を土に植える」の意味だが、それが派生して、好きな物事を誰かに紹介し、好きにさせることの意)したり、討論に参加しているが、そのうち「国潮青年」と称される「90後」と「95後」世代の割合は全体の61%にも達しているという。

  家電量販大手の蘇寧易購(スニン)も、「90後」世代は輸入品(中国内で生産されている海外ブランド品含む)よりも国産品を好む傾向が強いことを明らかにしている。新しさやファッション性を追求する若年消費層にとって、国産品は“ダサい”ものから“カッコいい”ものへと変化を遂げている。

  コストパフォーマンスの面からも、国産品は三線・四線級都市や若年消費者層から特に高い人気を集めている。

  京東(JDドットコム)が公表した「2019『新国産品』消費トレンド報告」によると、2018年に地方都市の若年消費者が国産品に費やした金額は前年比79%増で、注文件数も67%増を記録。この数字は都市部を上回ったもようだ。

  ここ数年、中国全土に広まる“より良いモノ(サービス)を求める”「消費昇級(アップグレード)」トレンドの主力層でもあるこうした若者の消費性向の変化も考慮すると、国産品市場は今後も更なる発展の余地を有しているといえる。

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