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コロナ後の中国消費者の意識&行動を調査・予測(1)
コロナ禍で中国消費はどう変わったか?
2020年9月8日
  感染者数が減少し、武漢の都市封鎖(ロックダウン)も解除された。職場復帰や学校再開に向けた取り組みも進んでいる。中国はいま、「アフターコロナ(コロナ後)」の復興期を迎えようとしている。

  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が収入の大幅減に直面した。なかでも大きな打撃を受けた業界は、小売、飲食、旅行、航空、貿易など。人員削減や減給を余儀なくされた企業も多く、倒産する企業も現れた。

  中国国家統計局の最新データによると、2020年2月の中国都市部の失業率は6.2%、3月も5.9%に達しているもよう。昨年の平均値が5.0~5.3%であったことを考えれば、その深刻さをうかがい知ることができる。

  消費はさらに深刻なダメージを受けた。

  国家統計局のデータによると、2020年1~3月の社会消費品小売総額(小売全体)は7兆8,580億元で、前年同期比19%減。自動車を除く消費品小売総額は7兆2,254億元で17.7%減だった。

  消費の類型別では、商品小売額は7兆2,553億元で前年比15.8%減。飲食は6,026億元で、44.3%減だった。

  業態別では、一定規模以上の小売企業のうち、百貨店、専門店、専売店の売上はそれぞれ34.9%、24.7%、28.7%減。スーパーのみ、食品や日用品の需要増により売上が1.9%伸びたようだ。

  現在、体温測定や隔離などの措置は続いているものの、中国国内の小売業は徐々に活力を取り戻しつつある。

  中国百貨商業協会が公表した第2期「小売業復工復産状況調査報告」によると、2020年4月13日時点で調査対象となった企業の96%が約9割の業務を再開したと回答。売上が通常の6~7割にまで回復した企業も46%に達している。

相次ぐ中国政府の消費刺激策
16省で65億元のクーポン発行

  2020年3月、国家発展改革委員会など23の部門が連名で「消費規模のアップグレード促進と強力な国内市場形成加速に関する実施意見」を公布。これを受けて各地方政府も、消費クーポンや消費補助金などの措置を相次いで実施した。

  不完全な統計だが、3月27日時点で約16の省が総額42.73億元の消費クーポンを交付。武漢の封鎖が解除されてからは、さらに23億元のクーポンが発行され、オンラインとオフライン双方の消費を後押ししている。

  各政府機関では、クーポンのほか、大型の消費キャンペーンも展開。

  商務部と国家郵政局が主導するネットセール「双品網購節」(※「双品」とは品質とブランドの意)は、アリババ、京東(JDドットコム)、蘇寧(スニン)易購、網易(ネットイース)、国美、唯品会、聚美優品、小紅書(RED)、中糧我買網、食行生鮮などEC企業大手10社が参加。4月28日から5月10日にわたって開催された。

  上海市政府は「五五購物節」を主催。第2四半期の労働節(メーデー)、児童節、端午節などを跨ぎ、多くのECプラットフォームやオフラインの商業施設が参加した。各プラットフォームや企業が提供した補助金の総額は130億元に達している。

  コロナウイルスの感染が鈍化し、中央と地方政府が大規模な消費刺激策を採るなか、中国の消費者は期待された“報復性(リベンジ)消費”に走るのか?今回のウイルス危機を経て、消費者の意識や態度にどんな変化が現れるのか?

  以下では、いくつかの調査レポートやECプラットフォームのビッグデータをもとに、「アフターコロナ」の消費トレンドを読み解いてみたい。(続き)

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