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中長期計画に知っておくべき中国消費トレンド15選 (7)
消費トレンド予測⑦ 巨大なペット市場の潜在力は見逃せない
2020年10月13日
消費トレンド予測⑦
イヌよりもネコのほうが人気に
巨大なペット市場の潜在力は見逃せない

  独身者の割合が増え、出生率が低下するのに伴い、ペットを飼う人の数が増えている。ペットとして中国で飼われているイヌとネコの数は既にアメリカを抜き、世界トップとなっている。

  「2019年中国ペット業界白書」によると、2019年に中国都市部でペットのために使われた費用は2,024億元で、前年比18.5%増を記録した。(図3:2019年の都市部におけるペット関連消費規模)
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  ペット関連サイト「狗民網」の統計によると、ペットの飼い主の約半数は「90後(1990年代生まれ)」世代であり、うち88%を女性が占めるという。半数が独身者であり、9割がペットを子供同様に家族の一員とみなしている。

  京東超市(スーパー)のペット部門が調査会社大手のニールセンと共同で発表した「2020中国ペット消費トレンド報告」によると、ネット上のペット市場の消費者は「85後(1985〜89年生まれ)」と「90後(1990〜94年生まれ)」世代の若年消費者が多く、全体の40.3%を占めているという。これに次いで多いのが「95後(1995〜99年生まれ)」世代で23.6%だった。

  若年消費者層にとって、ペットはパートナーとしての役割のほか、社交面や自己表現といった目的も併せ持つようだ。彼らは精神的な拠り所であるペットに、より高級で高価なものを好んで購入する傾向がある。

  ペット市場全体で見ると、イヌ市場の成長が穏やかになりつつあるのに対して、勢いがあるのがネコ市場だ。「猫経済(キャットエコノミー)」はすでに次のトレンドとしての地位が確立されつつある。

  きっかけは中国でペット犬を制限する「限狗令」や、居住環境の制約などの外的要因が影響している。仕事で大きなストレスを受け、時間や精力にも限界がある若者のライフスタイルも一因といえるだろう。孤独を紛らすためのパートナーとして、ネコは毎日の散歩が必要なイヌよりも手がかからず、癒しの効果も大きい。

  ネコはプチブル(小ブルジョア)の象徴的存在にもなっている。若者の間では「ネコを飼わない人はダサい」という風潮すら一部存在するほどだ。

  「糞処理屋」を自称し、ネコを愛でて過ごすことを至福とする若者は多く、ネコを飼っていない人も、スマホの動画投稿アプリで、他人が投稿したネコの画像や動画を観て楽しむ「雲吸猫」(※ネット用語)族であることが多い。

  ペット用品のなかでも消費が急増しているのが、キャットフードとネコ用おやつ。特に若い女性消費者は、ネコに与える食品の品質やヘルシーさに高いこだわりを持っており、中・高級品を進んで購入。高価格でも厭(いと)わないようだ。

  EC(電子商取引)サイトでも、ペット関連の消費が急増している。

  京東超市(スーパー)を例にとると、2019年の双11セール期間中、ペットの害虫駆除関連製品の売上が前年比243%増の成長を記録。ネコ用トイレの売上も232%増だった。缶入りキャットフードやドライフードの売上も前年比で150%増となっている。

  2024年には中国全体で2.48億匹のイヌ・ネコが飼われ、アメリカの1.72億匹を大きく引き離すと見込まれている。ペット経済の前途は当面明るいだろう。なかでも「喵星人(ネコ愛好者)」の消費には大きな期待が寄せられている。

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