中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第574回】 人口、収入ともに最大“派閥”!

X・Y世代の攻略も視野に入れるべき?

2023年6月14日更新

人口と総収入ともに大きなシェアを占めているX世代とY世代
 14億人を超える中国の総人口。2022年末時点で前年比初の減少となり、人口世界一の座もインドに奪われると予想されています。それでも消費市場という観点から、やはり世界で最も重要かつ有望なマーケットといえるでしょう。

 中国の消費市場を分析する上で、よく世代論が語られます。1990年代生まれ、つまり1990年〜1999年生まれの世代を「90後」と呼び、同様に1980年代は「80後」、1970年代「70後」、1960年代「60後」、そして2000年代は「00後」となります。

 最近では「90後」を1995年前後で「90後」と「95後」に分割するケースも増えています。このように10年単位で区切り、それぞれ生まれ育った環境や背景、価値観、消費行動などから中国消費の今と未来を分析します。

 一方、もう少し広いくくりでの見方も最近は増えつつあります。それは「Z世代」に代表される若者研究で特に顕著となっています。

 中国では、1950~1964年生まれを「ベビーブーム世代」(年齢59~73歳)、1965~1979年生まれを「X世代」(年齢44~58歳)、1980~1994年生まれを「Y世代」(年齢29~43歳)、そして1995~2009年生まれを「Z世代」(年齢14~28歳)と分類しています。

 実はこの4つの世代で、中国総人口の8割を占めています。Z世代の次に続く2010年以降生まれを「α世代」と呼び、全体の12%を占めています。

 ちなみに、人口と総収入ともに大きなシェアを占めているのは、X世代とY世代です。X世代は3億3,000万人で人口全体の23%。Y世代も3億2,000万人で22%とほぼ拮抗しています。

 また収入のほうでは、X世代が全体の34%を占め、Y世代は28%。つまり、X世代とY世代が人口全体の45%ながら、収入では6割以上を占めていることになります。

 世界的には人口77億人で全体の32%を占め、今後の消費市場で頭角を現すことが期待されているZ世代。特に生まれながらのデジタルネイティブ、そしてSNSの普及と時を同じくしたことからソーシャルネイティブとも称されるなど、スマートフォン(スマホ)で大量の情報に触れているのも大きな特徴です。

 中国でも同様に今後の消費市場を占う上で、Z世代の研究が盛んですが、人口や収入面から見ると、人口は2億3,000万人で全体の17%、収入も全体の16%で、現時点では上記4世代のうち最も少なくなっています。

 改革開放後の高度成長期を経て中堅となったX世代。視野を広げ、努力を重ねることで、社会的、個人的ともに富を蓄積してきました。教育水準は全体的にやや低めですが、現時点では社会的に最も高い地位にあり、収入も最も多い世代といえるでしょう。

 初代の一人っ子世代のY世代。義務教育が普及した時代で、パソコンの普及期に育ち、都市化を目の当たりにしてきました。教育水準も高く、社会的地位や収入は現在発展途上といえるでしょう。

 X世代とY世代はともに子育て世代で、研究対象としてはあまり“面白くない”世代なのかもしれません。Z世代と比べて分析対象になるのもまれです。しかし人口、収入ともに高いウェイトを占めるこの両世代にも、もう少し目を向けてみる必要があるかもしれません。

X世代とY世代はともに子育て世代
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