中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第586回】 618セール取引額は着実に成長ながら…

アフターコロナの中国消費はいかに?

2023年9月6日更新

2023年春節(旧正月)休暇時の南京東路歩行街
 会報誌7&8月合併号では、アフターコロナの中国消費を特集しました。3年間に及ぶコロナ禍。特に最後の1年間は上海のロックダウンもあり、「ゼロコロナ」政策が中国消費に多大な影響を及ぼした印象が強くなってしまいます。

 今年に入り、昨年末からの感染拡大が落ち着き、行動制限が緩和されていくなか、いよいよまた中国消費が羽ばたくだろうと期待で一杯でした。

 1月中旬の春節(旧正月)では、上海の人気観光スポットの外灘や南京東路の歩行街、東方明珠塔では多くの人でごった返しました。静安寺の久光百貨のデパ地下でも、通路が客で混雑しており、自由に歩けないほどした。

 当時はもちろん皆マスク姿でしたが、3年間我慢を強いられた鬱憤を多くの人が晴らすはずだ。「報復性」(リベンジ)消費が巻き起こるとワクワクしたものです。その後、時が経つにつれ、徐々にそうした期待が萎みつつあるのが、今となっては否定できない現実ではないでしょうか。

 自らの生活をかえりみても、アフターコロナでなにか特別な消費の“爆発”は起きていません。コロナ下の生活スタイルがほぼ変わらず続いており、ネットスーパーで日々の必需品を購入し、食事もフードデリバリーをよく利用しています。こうした“巣ごもり”も、別にコロナ禍で始まったわけではないのですが、不要不急な外出はめっきり減った気がします。

 コロナが明けて、今年はこれまで日本に2度一時帰国しました。特に東京での人出の多さは驚きで、たじろぐほどでした。少なくとも上海では、大型連休はまだしも、地下鉄などを除き、街なかで人混みを目にする機会はそれほど多くありません。

 私が中国で籠もっているせいなのかもしれません。もしくは、元々コロナ前もこれが普通で、コロナ下で以前の様子を忘れしまったのでしょうか。一方で成都の繁華街・春熙路では、週末の夜に多くの人で賑わっており、上海はロックダウンの後遺症が残っている?とも思いました。

 リアルでの消費現場から中国消費を判断するのがますます難しくなっているなか、618のネットセールは、ネット全体での取引規模が成長したようです。特に抖音(TikTok)が好業績だったようで、ライブコマース需要は依然として旺盛なのでしょう。

 コロナを経て、ますます実態が掴みづらくなった中国消費。中国経済を危惧する風潮のなか、確かに成長は鈍化しつつありますが、それでも巨大な市場があるのは事実です。不動産など将来に対する不確実性も高まっていますが、日々の消費は誰もが必要です。

 アフターコロナの中国消費がどこに向かうのか?14億人の多様なニーズを一概に結論づけることは不可能ですが、何とか中国消費の実態の一端に迫り、少しでも日本企業の中国ビジネスの一助になれればとの思いでレポートしています。

二次元をテーマとした商業施設「百聯ZX創趣場」に多くの若者が押し寄せた(2023年春節)

久光百貨のデパ地下も多くの客で賑わった(2023年春節)
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