去る11月11日は中国では「独身の日（中国語で「光棍節」）」ということで、なぜかこの日は例年、中国ネット通販の一大バーゲンイベントになっています。今年もネット通販各社にとって格好の販売促進の場になり、今年も各社好調だったようです。

　アリババ系B2Cサイトの天猫（Tmall：淘宝商城）の取引額は132億元（約1700億円）に上り、昨年記録した33億6000万元の約4倍まで膨らみ、家電通販大手の京東商城（360buy）は11月10日から12日までの売上高が25億元を超え、ネット書籍販売大手の当当網も11日当日の売上高が1億元超になったということです。

　今年は日系各社も数多くこのイベントに参加されたようで、当日は私のところにもメルマガを設定している各社から注文が殺到しているとの情報が入り、なかには開始5分で150件以上の取引があり、チャット対応者がキーボードをたたき続けていますといった実況中継のメールも飛び込んできました。

　このイベントですが、数年前までは若者の間で独身を祝いながら早く抜け出そうとお互いを鼓舞するお祭りだったのが、数年前から小売業がバーゲンのイベント日として利用し、淘宝がネット上で大々的に一大イベントに仕掛けたという経緯で、特に昨年の淘宝の取引高が突出していたことで注目を集め、ネット通販の大バーゲンイベントとなりました。

　当日は各ショップとも50%以上の値引きで商品を販売するのですが、元々価格競争が激しいネット通販業界で更なる大型値引きを実施するということで、利益を度外視し、露出アップを目的に、あくまでも単にサイトに来てもらい一度購入（体験）してもらうことでよしとするショップも多いと聞いています。

　天猫で釣具をメインに販売するナチュラム（上海拿趣然商貿有限公司）もこのイベントに参加しましたが、同社の山内智和総経理は、「11日の天猫のアウトドア市場は、全体で通常の1日平均の50倍の売上を計上しており、潜在顧客に触れる良い機会であることは間違い無いです。ただ利益度外視はもちろんのこと、その後の物流遅配のクレーム処理も膨大となり、ネット通販において非常に重要であるショップの評価が下降傾向にあります。単に主催者と配送業者を儲けさせているだけではないでしょうか」と冷静にコメントしています。

　露出を高めてその後のオーダーにつなげるか、もしくは単にお祭り騒ぎで終わるのか、当日の驚異的な取引高につい目を奪われてしまいがちですが、ネット通販運営各社の試行錯誤はまだまだ続いていくと実感させられました。

　ちなみに11月11日ですが、日本では「介護の日」、「電池の日」、「配線器具の日」、「麺の日」、「サッカーの日」、「ポッキーの日」など「1」や「11」が並ぶ様子にちなんだ記念日が数多く制定されています。（※詳しくはこちらをご参照。「今日は何の日～毎日が記念日～」 http://www.nnh.to/11/11.html）

A4サイズで印刷

Copyright (C) CastGlobal Consulting Co., Ltd. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、
本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

前ページへ戻る

もっと見る