昨日、東京で日本経済新聞デジタルメディア主催の日経テレコンスクールにて「急成長する中国ネット通販市場とどう向き合うか」を題材に講演をしました。2012年末にはインターネット人口が5.6億人になり、そのうちネット通販ユーザーが2億人を超え、最大手の淘宝（タオバオ）の取引額が天猫（B2C）と淘宝（C2C）を合わせて1兆元(約14兆円)に到達するなど、その成長には依然陰りが見えません。

　昨年11月11日の「双十一（＝独身の日）」に開催した大型キャンペーンでは、天猫が132億元、淘宝が59億元で合計191億元（2,670億円）の売上（支付宝による）を達成。当日の売上が1億元を越えたショップが3社、5,000万元以上が14社、1,000万元以上が217社もあり、そのうちトップは男性アパレルのJackJonesで、当日販売額は1.19億元（約16.6億円）に達しました。

　こうした中国ネット通販の盛り上がりに若干乗り遅れている感が拭えない日本企業ですが、双十一のイベントではユニクロが売上2,190万元（約3億円）で第75位、ソニーが売上1,453万元（約2億円）で第137位、コーセーが売上1,236万元（約1億7,000万円）で第171位にランクインしています。他のローカル企業と比べるとまだまだかもしれませんが、一日で1億円を超える売上を達成した日本企業があったことは、明るい希望の兆しが見えてきたといえるでしょう。

　もちろん双十一のイベントでオーダーがたくさん入ったからといって手放しに喜んでいいわけではないのも事実です。このイベントでは、多くの企業が売価を通常の半額やそれ以下まで値下げしているケースが多く、新規の潜在ユーザーに向けた宣伝効果はあったかもしれませんが、収益面から考察すると、ほとんどどこも利幅なしというのが現実です。

　また一日にあまりに多くの商品が出荷されるため、配送業者の処理能力がパンクし、商品が届くのに時間がかかってしまいクレームに繋がるという悪影響も起こっているようで、天猫で釣具やアウトドア商品を販売する上海拿趣然（ナチュラム）総経理の山内智和氏も「ショップ運営にとって最も大切な信用度を下げてしまう恐れがある」と指摘しています。

　しかし、だからと言って急成長を続ける中国ネット通販市場を目の前にして手をこまねいているわけにもいかず、何とかその波に乗りたい日本企業ですが、着実に売上を伸ばし、中国人ユーザーから支持を得ている日本企業が出てきていることは大きな励みになると思いました。

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