【第104回】空気清浄機のニーズ高まる中国市場

PM2.5で市場拡大、日系も人気の空気清浄機

2014年1月15日更新

生産が需要に追い付かない中国空気清浄機市場

　中国全土でPM2.5が猛威を振るっています。上海でもPM2.5の値が500を超えた昨年12月6日を境に、街中でもマスク姿が目立つようになりました。そうしたなか、空気清浄機の販売が急増しています。リサーチ会社の北京中怡康時代市場研究によると、13年1〜8月期の空気清浄機市場の規模は金額ベースで前年同期比86.9％増と急拡大したとのことです。

　付箋（ポストイット）やキッチン用品で有名な米3Mも空気清浄機を製造・販売していますが、こちらも好調です。昨年11月11日の双十一節（独身の日）セール時に京東商場で紹介した限定品の空気清浄機がわずか30分で売り切れとなったり、天猫（淘宝）で通常の5割引きで出品したところ前年の10倍以上の売り上げを記録したほどです。

　空気清浄性能が高いと評判の日本製品もこの波に乗っています。反日デモ騒動をきっかけとした不買ムードの余韻が残る昨年冬も、パナソニックやシャープなどの製品の売れ行きが好調でした。シャープはいまでも生産が注文に追い付かないとのことで、休日返上で工場をフル稼働して対応しているそうです。中怡康のデータによると、市場シェアではパナソニックが2位（26.81％）、シャープが4位（6.01％）につけるなどの奮闘が目立ちます。

　それでは、シェアトップの企業はどこなのでしょうか？　答えはフィリップス（34.8％）。日本ではフィリップスと空気清浄機はあまりリンクしないイメージですが、電動シェーバーや歯ブラシ、扇風機など豊富な小型家電のラインナップで中国社会に浸透しているブランドと知名度を生かし、販売を伸ばしています。

　また、これまで中国で培ってきた販売チャネル面でのネットワークと体制をバックに、条件交渉、陳列場所、販売員の配置などで他を圧倒しているとのことです。日本人としてはついつい技術や性能を追求し、「いいものを作れば自然に売れる」という職人気質的な発想をしてしまうのですが、中国ではそれと共に販売力が大きく問われることをまざまざと見せつけられました。

　中国における空気清浄機の普及率は、韓国の71％、米国の27％。日本の17％と比べてわずか0.1％。今後大いに発展が見込まれる同市場での日系メーカーの奮闘に期待しています。

※会報誌（13年12月号）で3M中国のコンシューマー事業部のマーケットマネージャー、アン・シュー氏に空気清浄機誌市場の発展と中国の消費者のトレンドについてインタビューをしています。

【インタビュー】　中国ビジネス最前線　～現地企業のキーパーソンに聞く～
『大気汚染への懸念で右肩上がりの空気清浄機市場』
3Mの中国展開から見る市場のトレンド

※下記リンクからもご覧いただけます。

3Mの中国展開、空気清浄機市場のトレンド（1）
中国はわずか0.1％、空気清浄機の普及率

3Mの中国展開、空気清浄機市場のトレンド（2）
拡大する空気清浄機市場、売れ筋は2千～4千元

3Mの中国展開、空気清浄機市場のトレンド（3）
ブランド知名度が左右、空気清浄機の売れ行き

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