重慶最大の繁華街「解放碑」

　重慶最大の繁華街「解放碑」。歩行街の中央にそびえ立つその解放碑（時計台）は抗日戦争での勝利を記念して建てられたものですが、今やそうした暗い過去のイメージは全くありません。周りに広がる高級百貨店やホテル、レストラン、オフィスタワーを一つにまとめる支柱のような役割を担っています。

　その解放碑のすぐ横にあるのが「重慶時代広場」。ルイ・ヴィトンやカルティエなど高級ブランドが数多く入居する重慶きってのショッピングモールです。五一（労働節）休暇中の買物客でごった返す歩行街と歩を合わせるがごとく、モール内はどのお店も賑わっていました。特にルイ・ヴィトンとバーバリーは人気で、入場を制限するロープが設置されるほどです。

　最近は習近平政権による「倹約令」や汚職取り締まりなどにより、高級レストランでの接待や高級ブランド品の贈答などが禁止され、高額消費が低迷しているイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

　中国奢侈品市場は、2008年の1403億元から11年には2660億元まで拡大。リーマン・ショック後の影響もあった09年は、世界奢侈品市場が8％縮小するなか、中国では逆に12％も成長しました。10年、11年と2年連続で30％前後の成長を遂げ、12年には中国人の奢侈品消費が世界全体の25％に達しています。

　しかし、中国共産党の政権交代を控えた12年には7％、そして13年には2％と成長が明らかに減速し、新政権の政策が大きく影響した形となっています。業界内では贈答品市場が全体の20％を占めると言われていますが、ブルガリのグレーターチャイナ地区販売マネージャーのビビアン・チャン氏によると、特に役人文化が濃い中国北部でのネガティブな影響が大きく、北京や瀋陽に加え、土豪（成金）が多い大同でも奢侈品消費が減退したとのことです。

　一方、中国人が奢侈品を求めなくなったというのは早計で、その動きは海外での消費に向かっているようです。関税や消費（ぜいたく）税などによる内外価格差と元高メリットがそうした海外での消費の一因でもありますが、その比率は奢侈品市場全体の67％前後に達しています。

　重慶時代広場で開店準備中のブルガリも、チャン氏によると、引き続き中国向け投資を継続していくそうです。「重点地域は重慶や成都など西部」とのことで、今年中に成都IFSのほか中国全土で4店舗を新規出店する予定。経済成長の減速が懸念される中国ですが、こと消費に関しては事情が異なるようです。重慶での活気あふれる現場を目の当たりにし、経済力を増す中国人の消費意欲は依然力強いと感じました。

A4サイズで印刷

Copyright (C) CastGlobal Consulting Co., Ltd. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、
本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

前ページへ戻る

もっと見る